「〇〇銀行のATMコーナー、封筒がごっそり消えてる……」
会社の経理担当のお姉様方はじめ、取引先への現金支払いで銀行の封筒を重宝していた方にとっては、少し困っちゃうこの事態。
今や銀行のATMコーナーに封筒がないのは日常です。
実はATMの封筒がなくなった背景には、銀行側の切実な事情と「モラル皆無の利用者」の存在があります。この記事では20年地銀に勤める現役行員が、ATMから封筒が消えた本当の理由をぶっちゃけます。
ATMに封筒がなくなって困っている人へ
「取引先に現金を包んで渡すのに、あの銀行名の入った封筒がちょうど良かったのに!」という経理担当者さんの嘆き、よく分かります。銀行のロゴが入っているだけで、なんとなく「ちゃんとしたお金」という安心感が出ますもんね。
それに銀行にとっても、銀行の名前が載った封筒でお金がやり取りされるのは意外に大きな宣伝効果があります。
でも、ちょっと耳の痛い話をします。
実は、あの封筒がなくなった一因は、銀行の封筒を愛用し過ぎた人にあるんです。本部勤務の現役銀行員の目だから知っている、ATMコーナーの封筒を巡る裏側を解説します!
ATMから封筒がなくなった理由

「たかが封筒」と思われるかもしれませんが、銀行にとっては「されど封筒」。無視できない問題が積み重なっていたのです。
大量の封筒を持って帰る人がいたから
私が支店にいた頃の実体験ですが、毎週金曜日の夕方は土日にATMを利用されるお客様のために以下作業を若手中心に行います。
- トイレの清掃
- ATM周辺のゴミ回収
- そして、ATMコーナーの封筒補充
この封筒補充、あとで苦情にならないよう各ATMに100枚ずつ。計300枚以上の封筒をどっさり設置するのが定番。
……なのですが、月曜日にATMコーナーを見ると、その300枚の封筒はスッカラカン。何一つなくなるなんてことが多々ありました。
きっと家計のお金整理や子供のお小遣い袋代わりなど色んな用途に使う人がいたのでしょう。なにせ銀行の封筒はタダですから。
とはいえ、銀行員としては「それはちょっと……」と言いたくなる光景が日常茶飯事だったのです。
とどのつまりは経費削減が理由です
結局のところ、ATMコーナーから封筒がなくなった最大の理由は「経費削減」ただそれだけです。
どうせ盗まれる封筒。なくしたら以下のコストがゼロになります。
- 封筒そのもののコスト
- 封筒を支店に送る搬送費
- 封筒を補充する若手の人件費
競争環境の激しさが増す銀行にとって、経費削減は最大の課題。1円単位の経費を削っている中で、年間数百万円以上かかる「無料の封筒」が、事業仕分けの対象になるのは当然のこと。
無論「キャッシュレス時代、封筒へのニーズが低下しつつあるからATMコーナーに置くのをやめます」という建前を忘れないのが銀行流です。
「なくす」より「有料化」の方がいい

「えっ!そんな理由で封筒なくしていいの!?」
そんな声に対して、本部企画職の端くれとして個人的に思うのは、いきなり「ゼロ」にするのはイマイチですよね~、が本音です。
いきなり無くすより、レジ袋のように「1枚3円」などで有料化する。これが銀行・お客様双方にとって最適な落とし所じゃないかと思っております。
そうすれば、本当に必要な経理担当者さんは対価を払って利用できますし、不要な人が束で持ち去ることも防げます。銀行目線ではせめて原価分くらい頂戴すれば、封筒の設置自体は顧客サービスの向上という整理でむしろ前向きに捉えられます。
封筒を突然なくして、お客様から不満の声を頂くよりも、物価上昇が続く今となってはある種の値上げの方がしっくりくるのではないでしょうか。
ATMの封筒復活の可能性
いち銀行員の想いはおいといて、ATMコーナーの封筒が復活する余地はあるのか?
はっきり申し上げますが、ATMに無料の封筒が復活する可能性はゼロです。
大前提を申しますと、銀行および銀行員は「お客様が封筒がなくなったことに不満をお持ちであること」を軽視しています。というか下手したら、不満に思っていることを認識していません。
また、私自身が分析したのですが、封筒の設置を止める前後で預金や来店客数などあらゆる数字が何一つ減少しませんでした。つまり、封筒があろうがなかろうが銀行の儲けには影響しない、ということです。
銀行が、封筒をなくして文句を言うお客様は『切り捨ててもいいコスト』と判断しているため、もはや封筒を復活させるきっかけすら無いのが現状なのです。
まとめ

ATMから封筒が消えた理由は、封筒泥棒への対策、そして銀行の経費削減の2つ。
寂しい気もしますが、これも時代の流れ。銀行に期待するよりも、自分でお気に入りの封筒を見つけて、お仕事のモチベーションを上げた方が建設的かもしれません。現役銀行員としても、心苦しいですが「封筒はもう自前でお願いします!」というのが本音です。

