銀行の経営トップは、頭取という独特な呼び方をします。その他にも、副頭取や専務・常務など一通りの役員がいます。
そんな銀行の役員には、6つの要素に基づく序列があり、銀行内での権力が大きく違います。
- 代表権の有無
- 職位としての序列
- 取締役と執行役員
- 取締役と執行役員の兼任
- 取締役監査等委員
- 管掌業務による序列
この記事では、現役銀行員が知る銀行役員の序列の全てを解説します。銀行の人事や仕組みに興味がある方は是非ご覧ください!
勤続20年の現役銀行員。主に本部の企画部門でキャリアを積んできました。数多くの役員交代や同行を間近で見てきた経験から、普通の行員でも知らない銀行内のリアルなパワーバランスを解説します!
そもそも役員とは何か?

役員(やくいん)とは、会社の業務執行や監督を行う幹部職員のこと。
wikipedia
役員とは、会社の経営を担う人で大きく2種類があります。
- 法律に基づき任命される役員
- 法律に関係なく任意で設置される役員
詳しく見ていきましょう!
法律に基づき任命される役員
法律(会社法)に基づき任命される役員には、3種類あります。
- 取締役
株式会社に必ず必要な取締役で、あらゆる業務を執行します。 - 会計参与
会計参与は、会計業務を担う役員。決算関連業務を統括します。会計参与は必須ではありません。 - 監査役
取締役の業務執行に不当な点がないかをチェックする監査役。銀行では、監査役の代わりに監査等委員会を設置することが多いです。
銀行の役員体制は、上記の取締役と次節で紹介する執行役員で構成されています。
任意で設置される役員
任意で設置される役員とは執行役員のこと。
最高意思決定機関である取締役会の決定に基づいて業務の執行に専念する、役員待遇の従業員という位置づけになる。
goo辞書
役員と名はつきますが、取締役の指示に基づき業務を遂行する従業員という位置づけです。
役員待遇ですが、経営責任を負わず取締役会にも出席しません。
CEOは役員じゃないの?

CEO(最高経営責任者)
ジェフ・ベゾス
イーロン・マスク
マーク・ザッカーバーグ
いずれも世界のビッグテック企業のCEOですが、そもそもCEOとは何か?
CEOとは役職の一つです。平社員から始まり、係長や主任・支店長・部長・社長・会長などの延長線上にあるのがCEO。
CEOは会社の経営責任を負うため、通常は取締役に就いています。したがって、取締役CEOが正しい役職名になります。

代表権を持つ取締役の場合は、代表取締役CEOです。
銀行役員のラインナップ

続いて銀行の役員ラインナップを見てみましょう。
職位が高い順に一気に紹介します!
取締役
まずは、会社法で定められる取締役から。
- 取締役会長
- 取締役頭取
- 取締役副頭取
- 専務取締役
- 常務取締役
- 取締役(いわゆるヒラ取)
銀行トップは頭取ですが、多くの場合、頭取のお目付け役として会長が置かれています。
会長とは頭取が退任後に就く役職。会長は自分が任命した新頭取の采配を見守りつつ、助言・サポートを行います。
執行役員
役員待遇の従業員である執行役員のラインナップは以下のとおり。
- 専務執行役員
- 常務執行役員
- 執行役員
基本的に上記3つの執行役員の権限や役割に大きな違いはありません。分かりやすくいうと「係長⇒課長代理⇒課長」の順番に昇進するのと同じです。
兼任
ほとんどの銀行が取締役と執行役員の兼任制度を採用しています。例えば、三菱UFJ銀行の場合は以下の役員一覧(抜粋)のとおりです。

取締役会長を除き、頭取を含めた役員全員が取締役と執行役員を兼任しています。
この兼任には、経営者として銀行方針を決定できるとともに最上位の従業員(執行役員)として実務を遂行させられる、という利点があります。
銀行役員の序列とは?

ここからは、本題の銀行役員の序列について解説していきます。銀行役員の序列を決める要素は以下の6つ。詳しく見ていきましょう。
- 代表権の有無
- 職位としての序列
- 取締役と執行役員
- 取締役と執行役員の兼任
- 取締役監査等委員
- 管掌業務による序列
代表権の有無
取締役には、代表権を持つものと持たないものがあり、代表権を持つ方が序列は上です。
代表権とは、株式会社の業務に係る全ての権限のこと。ただし、代表取締役は好き放題に何でもできる訳ではありません。
会社の重要事項は、取締役会や株主総会の承認をもって決まるもの。この点を考慮せずに、代表取締役が勝手に重要な決定を行うことで責任追及される事件もあります。直近では、山口の乱と呼ばれる山口FGでの新銀行構想でトップの解任劇がありました。
職位としての序列
ヒラ社員より係長の方が序列が上なのと同じように、取締役や執行役員の中にも職位としての序列があります。
先ほど紹介したとおりですが、改めて序列が高い順に紹介します。
- 取締役会長
- 取締役頭取
- 取締役副頭取
- 専務取締役
- 常務取締役
- 取締役
取締役と執行役員
ここまで読めばお分かりになると思いますが、執行役員よりも取締役の方が序列は上です。
取締役が決定した事項を、従業員の先頭に立って実行するのが執行役員の役割です。
取締役と執行役員の兼任
では、執行役員を兼任する取締役と兼任しない取締役はどちらが偉いのか?
これはやや複雑ですが、概ね以下のとおり。
例えば、
- 取締役頭取執行役員
- 専務取締役
- 常務取締役
- 常務取締役執行役員
3番目の常務取締役は、執行役員が付かず完全なる経営メンバーですが、4番目の常務取締役は経営メンバーでありながら、従業員としての役割も担わされているかたちになります。
取締役監査等委員
取締役には、通常の取締役と取締役監査等委員の2種類があります。取締役監査等委員とは、取締役等の業務執行について監査を行う役割のことです。
したがって、銀行の本流の職務を担う通常の取締役の方が序列が上と考えてよいでしょう。
また、近頃急増しているのが社外取締役。銀行外から招集された取締役で、銀行を外から見た発言に期待がかかっています。ただし、現役銀行員の視点から言うと、実態はそこまで社外取締役が銀行に対して強烈な意見を言えるとは思えません。だって周りは長年銀行に勤めてきた生粋のバンカーだらけだから。
管掌業務による序列
頭取・副頭取より下の職位においては、担当業務により序列の違いがあります。
当然、銀行における花形部署を担当する役員は序列が上です。
例えば、
- 取締役(経営戦略本部担当)
- 取締役(事務部門担当)
の2つを比べると、経営戦略本部を担当する取締役の方が序列は上と考えるのが自然です。

銀行役員の年収と格差の実態
序列が違えば当然、年収(役員報酬)も大きく変わります。役員報酬は銀行によって異なりますが、一般的にメガバンクの頭取クラスになれば年収は数千万円から1億円以上になります(参考:みずほ銀行「会社役員に対する報酬等」)。頭取以下の年収目安は以下のとおりです。
- 代表取締役(頭取・副頭取): 5,000万〜1億円超
- 常務・専務クラス: 3,000万〜5,000万円前後
- 執行役員クラス: 2,000万〜3,000万円前後
役員報酬は金銭(現金)と自社株式での報酬があり、普通の銀行員では考えられないくらいの金額になります。
まとめ

銀行の役員には以下のとおり、たくさんの種類があります。
役員と聞くと、圧倒的な権力を持つイメージがありますが、決してそんなことはありません。
これら役員にも、以下6つの要因で序列が付けられます。
- 代表権の有無
代表権がある取締役は序列が上。 - 職位としての序列
会長を筆頭に職位での序列がある。 - 取締役と執行役員
執行役員よりも取締役の方が序列が上。 - 取締役と執行役員の兼任
基本、兼任してない取締役の序列が上。ただし、職位が勝る方が上。 - 取締役監査等委員
監査等委員の取締役よりも、通常の取締役の方が序列が上。 - 管掌業務による序列
経営企画担当などの花形部署を担当する取締役は序列が上。
もし銀行の役員に出会ったときには、今回紹介した役員の序列を意識することで、変に気を使い過ぎることなく有意義なコミュニケーションを取りましょう!


