銀行の役員には明確な序列がある!|現役銀行員のリアル解説

銀行員を極めたい

銀行の経営トップは、頭取という独特な呼び方をします。

その他にも、副頭取や専務・常務など一通りの役員がいます。

そんな銀行の役員たちには、同じ役員でも以下の6つの要素に基づく序列があり、銀行内での権力や将来性等に違いがあります。

  • 代表権の有無
  • 職位としての序列
  • 取締役と執行役員
  • 取締役と執行役員の兼任
  • 取締役監査等委員
  • 管掌業務による序列

この記事では、現役銀行員だけが知っている銀行役員の序列の全てを解説します。

銀行の人事や仕組みに興味がある方は是非ご覧ください!

そもそも役員とは何か?

役員(やくいん)とは、会社の業務執行や監督を行う幹部職員のことをいう。いわゆる経営者・上位管理職

wikipedia

端的にいうと、役員とは会社の経営を担う人です。

役員には、法律に基づき任命される役員と法律に関係なく任意で設置される役員の2種類があります。

詳しく見ていきましょう!

法律に基づき任命される役員

法律(会社法)に基づき任命される役員には、3種類あります。

  • 取締役
    株式会社に必ず必要な取締役で、あらゆる業務を執行します。
  • 会計参与
    会計参与は、会計業務を担う役員。会社の資産と収益をモニタリングし、決算関連業務を統括します。会計参与は必須ではありません。
  • 監査役
    取締役の業務執行に不当な点がないかをチェックする監査役。銀行では、監査役の代わりに監査等委員会を設置することが多いです。

銀行の役員体制は、上記の取締役と、次節で紹介する執行役員で構成されています。

任意で設置される役員

任意で設置される役員とは執行役員のこと。

最高意思決定機関である取締役会の決定に基づいて業務の執行に専念する、役員待遇の従業員という位置づけになる。

goo辞書

役員と名はつきますが、取締役の指示に基づき業務を遂行する従業員という位置づけです。

役員待遇ですが、経営責任を負わず取締役会にも出席しません。

CEOは役員じゃないの?

CEO(最高経営責任者)

ジェフ・ベゾス

イーロン・マスク

マーク・ザッカーバーグ

いずれも世界のビッグテック企業のCEOですが、そもそもCEOとは何か?

CEOとは役職の一つです。

平社員から始まり、係長や主任・支店長・部長・社長・会長などの役職の延長線上にいるのがCEOです。

CEOは会社の経営責任を負う役割を担っているため、通常は取締役に就いています。

したがって、取締役CEOが正しい役職名です。

おやつイモ
おやつイモ

代表権を持つ取締役の場合は、代表取締役CEOです。

銀行役員のラインナップ

基本的な情報

続いて銀行の役員ラインナップを見てみましょう。

職位が高い順に一気に紹介します!

取締役

まずは、会社法で定められる取締役から。

  1. 取締役会長
  2. 取締役頭取
  3. 取締役副頭取
  4. 専務取締役
  5. 常務取締役
  6. 取締役(いわゆるヒラ取)

銀行のトップは頭取、・・・なのですが頭取のお目付け役として会長を置く銀行が多いです。

会長とは、頭取が自分の次の頭取を決定したあとに就く役職。

会長は、自分が任命した新頭取の采配を見守りつつ、必要に応じて助言・サポートを行う重要な役割を担っています。

執行役員

役員待遇の従業員である執行役員のラインナップは以下のとおり。

  1. 専務執行役員
  2. 常務執行役員
  3. 執行役員

基本的に上記3つの執行役員の権限や役割に大きな違いはありません。

イメージとしては「係長から課長代理に昇進した。しかし権限は大きく変わらない。結局は支店長が絶対的存在。」といった感じです。

兼任

取締役が執行役員を兼任することもあります。

というより、ほとんどの銀行が取締役と執行役員の兼任制度を採用しています。

例えば、三菱UFJ銀行の役員一覧(抜粋)をご覧ください。

取締役と執行役員の兼任例(三菱UFJ銀行)

取締役会長を除き、頭取を含めた役員全員が取締役と執行役員を兼任しています。

この兼任の狙いは、経営者として銀行方針を決定できるとともに、最上位の従業員(執行役員)として実務を遂行させることで、経営計画の立案から実行まで一気通貫で行えるようにするという点にあります。

銀行役員の序列とは?

ここからは、本題の銀行役員の序列について解説していきます。

銀行役員の序列を決める要素は以下の6点。それぞれ詳しく解説します!

  • 代表権の有無
  • 職位としての序列
  • 取締役と執行役員
  • 取締役と執行役員の兼任
  • 取締役監査等委員
  • 管掌業務による序列

代表権の有無

取締役には、代表権を持つものと持たないものがあり、代表権を持つ方が序列は上です。

代表権とは、株式会社の業務に係る全ての権限のこと。代表権を持つ取締役は会社を代表して業務を執行します。

ただし、代表取締役は好き放題に何でもできる訳ではありません。

会社の重要事項は、取締役会や株主総会の同意の上で決まるもの。

この点を考慮せずに、代表取締役が勝手に重要な決定を行うことで、取締役会で責任追及・解任請求されるような事件は多々あります。

銀行業界では、山口の乱と呼ばれる山口FGでの新銀行構想でトップの解任劇がありました。

職位としての序列

ヒラ銀行員よりも係長の方が序列が上なのと同じように、取締役や執行役員の中にも職位としての序列があります。

先ほど紹介したとおりですが、改めて序列が高い順に紹介します。

  1. 取締役会長
  2. 取締役頭取
  3. 取締役副頭取
  4. 専務取締役
  5. 常務取締役
  6. 取締役

ちなみに、上記職位の中で代表権を持つ可能性があるのは、会長・頭取・副頭取・専務取締役まで。

取締役と執行役員

ここまで読めばお分かりになると思いますが、執行役員よりも取締役の方が序列は上です。

取締役が決定した事項を、従業員の先頭に立って実行するのが執行役員の役割です。

取締役と執行役員の兼任

では、執行役員を兼任する取締役と兼任しない取締役はどちらが偉いのか?

これは少し複雑ですが、

  • 基本的には兼任がない取締役の方が序列は上。
  • ただし、取締役頭取のように職位が付いている取締役が執行役員を兼任している場合は、職位による序列が優先される。

といった法則が一般的です。

例えば、

  1. 取締役頭取執行役員
  2. 専務取締役
  3. 常務取締役
  4. 常務取締役執行役員

3番目の常務取締役は、執行役員が付かず完全なる経営メンバーですが、4番目の常務取締役は経営メンバーでありながら、従業員としての役割も担わされているかたちになります。

取締役監査等委員

取締役には、2つの種類があります。

それは通常の取締役と取締役監査等委員です。

監査等委員とは、取締役等の業務執行について監査を行う役割のことです。

したがって、銀行の本流の職務を担う通常の取締役の方が序列が上と考えてよいでしょう。

管掌業務による序列

頭取・副頭取より下の職位においては、管掌業務(担当業務)により序列の違いがあります。

当然、銀行における花形部署を担当する役員は序列が上と捉えておきましょう。

例えば、

  • 取締役(経営戦略本部担当
  • 取締役(事務部門担当

の2つを比べると、経営戦略本部を担当する取締役の方が序列は上と考えるのが自然です。

まとめ

まとめ

銀行の役員には以下のとおり、たくさんの種類があります。

  • 取締役
    1. 取締役会長
    2. 取締役頭取
    3. 取締役副頭取
    4. 専務取締役
    5. 常務取締役
    6. 取締役(いわゆるヒラ取)
  • 執行役員
    1. 専務執行役員
    2. 常務執行役員
    3. 執行役員

役員と聞くと、圧倒的な権力を持つイメージがありますが、決してそんなことはありません。

これら役員にも、以下6つの要因で序列が付けられます。

  • 代表権の有無
    代表権がある取締役は序列が上。
  • 職位としての序列
    会長を筆頭に職位での序列がある。
  • 取締役と執行役員
    執行役員よりも取締役の方が序列が上。
  • 取締役と執行役員の兼任
    基本、兼任してない取締役の序列が上。ただし、職位が勝る方が上。
  • 取締役監査等委員
    監査等委員の取締役よりも、通常の取締役の方が序列が上。
  • 管掌業務による序列
    経営企画担当などの花形部署を担当する取締役は序列が上。

もし銀行の役員に出会ったときには、今回紹介した役員の序列を意識することで、変に気を使い過ぎることなく有意義なコミュニケーションを取りましょう!

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