皆さん、銀行を利用する際は近所の支店を利用しますよね。
実は銀行の支店にはいくつか種類があり、それぞれ可能な取引が異なります。また、支店と本店や専門拠点など様々あります。
あなたが普段いってる支店よりも早く取引が済む支店があるかもしれません。
この記事では、
を現役銀行員が詳しく紹介します。
この記事を読むと、
といったメリットが得られます。是非ご覧ください!
銀行の本店と支店の違い
銀行についてまず疑問に思うのが、本店と支店の違い。両者の違いは以下のとおりです。
- 本店
銀行の登記上の所在地を示す言葉で、支店でも本部でもない存在。他業界でいうと本社のようなもの。 - 支店
銀行サービスを皆さんに提供する拠点。お客様にお越し頂く拠点であり、外回りの営業マンが待機する拠点でもある。
本店は、拠点の名前でもないし、部署の名前でもありません。
しかし、

でも、私は本店で取引があるわよ。
という人もいると思います。これは正確に言うと「私は本店営業部で取引がある」です。
詳しくは、次の章「銀行の組織体制」をご覧ください。
銀行の組織体制

銀行の組織は、大別すると支店・専門拠点・本部の3つに分かれます。
まずは、私たちに身近な支店から解説します。
銀行の支店とは?
支店とは、駅前や住宅街などにあり、多くのお客様が利用している拠点で、銀行内では営業店とも呼ばれます。
支店にはいくつかの種類があります。
- フルバン支店
個人から法人まで、預金から融資まで全てのお客様に、全ての銀行サービスを提供している支店(フルバンキング支店)。 - 本店営業部
冒頭お伝えした法人登記した住所の本店に付属する支店。機能はフルバン支店と全く同じ。 - 特定の業務を行わない支店
「法人取引を行わない」「個人取引を行わない」など一部の業務だけ取り扱わない支店。銀行によっては、出張所と呼ぶこともあります。
雰囲気
支店の雰囲気は、支店長と業績によって全く異なります。
銀行では「支店長がすべて」と言われるくらい、支店長が絶対的存在。
そんな支店長がハラスメント気質だったり暗かったりすると、その支店もどんより。
一方で、前向きで明るい支店長だと真逆。明るい雰囲気だと、支店の士気も業績も上がるので、とても過ごしやすい職場になります。
出世・昇進
支店に勤める銀行員の出世については、支店のランクによって変わってきます。
支店には規模によってランクがあり、銀行内部では店格と呼びます。
ランクが高いのは、
などです。
当然、ランクが高い支店の銀行員の方が出世は早いです。
同期行員でも、ひたすらランクが高い支店を異動する人とそうでもない支店を転々とする人では、人事上の扱いは全く異なります。
銀行の専門拠点とは?
次の専門拠点については、特定のサービスごとに種類があります。
専門拠点の最大の特徴は、平日は銀行に行けない勤労世帯のために休日も開いている点。また、お子さんが遊べるキッズスペースがあることも多いです。
具体的なラインナップについては以下のとおりです。
- ローン専門店
住宅ローンはじめ、マイカーローンやフリーローンなど個人向けの融資だけを受付ける専門店。ローンプラザやローンセンターなど各銀行それぞれの呼称があります。 - 保険専門店
運用型の生命保険や損害保険を取り扱う保険専門店。「ほけんの窓口」などと提携して、ショッピングモールなどにも出店する店舗です。 - 資産運用専門店
投資信託や個人向け国債など個人向けの資産運用サービスを行う専門店。どちらかというと富裕層向けの店舗。デパート内に「資産運用ラウンジ」といった名前で出店しています。
雰囲気
ローンや保険など若い世代向けの金融サービスを取り扱っており、若々しく明るい雰囲気の店が多いです。
というのも、専門拠点には若い銀行員が多いので活発な雰囲気です。
ただし、配属された銀行員たちは土日出勤がキツイというのが本音です。
出世・昇進
専門拠点は、若手の登竜門的な位置付けです。
例えば、ローン専門店では若手が住宅ローンを担当することで担保について学びを深めるといった狙いがあります。
そういった意味では、専門拠点でしっかりと業務を覚えて実績を上げることで、次のステップが見えてきます。
本部とは?
3つ目の本部について解説します。
本部は銀行全体の運営を支える役割を担っています。本部には多くの部署があり、それぞれ異なる業務を担っています。
例えば、経営戦略を立てる経営企画部門、リスクをマネジメントするリスク管理部門、銀行内システムを司るIT部門など。他にも以下のように様々な部門があります。
企画部門 | 経営企画、広報、ブランドCSR、主計など | 銀行の中枢を担うエリート軍団。銀行経営の方向性のかじ取り役。役員指示・金融当局の示達等を瞬時に処理。スマート&華麗に仕事する人が多い。 |
営業部門 | 営業企画、本部営業、コールセンターなど | 営業に関する本部機能の全てを担う。営業企画、チャネル戦略、営業目標、対顧客の専門コンサル等々を抱える大所帯。戦闘力が高い人ばかり。 |
人事部門 | 人事、福利厚生、健康管理 | 採用、人材育成・評価、人員計画等を担うエリートコースの一つ。人事異動前は悲壮感漂う。穏やかだけど、目の奥が笑ってない人が多い。 |
審査部門 | 審査、途上与信管理、債権管理 | 主に法人融資の審査を担う専門部署。新規融資、業績悪化企業の管理、延滞管理など色々ある。いち営業マンからすると、とにかく恐ろしい人たち。 |
事務部門 | 事務管理、事務集中、バック事務 | 主に預金と為替の事務企画・運用・集中事務作業を行う。「正確な事務は銀行の品質」を支える縁の下の力持ち。頼りになるベテランが多い。 |
IT部門 | IT企画・運用、DX推進 | 重厚長大な銀行システムの運用を担う。近頃は銀行もDXの希求強く、注目されがち(だが、うまく行かないこと多い)。銀行内ではIT専門家。 |
市場部門 | 資金運用 | 資金運用で稼ぐ証券会社的な存在。けっこうな稼ぎ頭。特殊部隊なので在籍が長い人が多い。個人的に、何に投資すべきか聞いても教えてくれない。 |
監査部門 | 監査 | 銀行全体の監査を担う役員直轄の組織。監査部の監査が入ったら、日常の仕事できず絶望。物事の細部まで目を光らせる老獪なベテランが多い。 |
これらの部署が連携して、銀行全体の運営を進めています。

連携しているつもりですが、実態は仕事を押し付け合ったり、いがみ合ったりすることも・・・。
雰囲気
上記で紹介したとおり部署によって、全く雰囲気は異なります。
あくまで個人的なイメージですが・・・
常に忙しそうな企画部門や営業部門。人事部門は比較的ゆとりがあり、どっしり感があります。審査部門は長時間労働、市場部門はマーケットとの戦いでピリピリといった雰囲気です!
出世・昇進
本部に配属される人は、出世・昇進が早いことが多いです。
もちろん部署によりますが、企画部門や人事部門、営業部門などは銀行の中核部署として見なされており、出世コースとも言われています。
詳しくはコチラの記事をご覧ください!

銀行への用事別の行くべき拠点

この章では、個別の用件ごとに「銀行のどの拠点に行ったらいいか?」を紹介していきます。
用件を細かめに紹介するので、箇条書き的に必要な情報だけを書いていきます!
口座を開設したい
近所の支店(フルバン支店)に行きましょう!
注意点は、口座開設には非常に時間がかかる点。時間に余裕があるときに行きましょう。
なお、ローンや資産運用等の専門拠点では口座開設はできません。
銀行アプリで、口座開設ができる銀行が増えています。おうちにいながら口座開設が可能。お取引がある銀行で調べることをオススメします!
お金をおろしたい
近所の支店でもいいですし、もっと言えば近所のATMに行きましょう。
なお、ATMは支店だけでなく、スーパーやショッピングモールなど様々なところにあります。
ネット検索で「○○銀行 ATM」で調べて、一番近いATMを調べましょう!
お金を入金したい
「お金をおろしたい」と同じ、近所のATMに行きましょう。
振込したい
「お金をおろしたい」と同じ、近所のATMに行きましょう。
注意点は、ATMでの振込みには上限金額があること。高額の振込みを行う際は、銀行窓口に行く必要があります。
振込みについては、インターネットバンキングをオススメします。パソコンやスマホで振込みが24時間365日いつでも可能。手数料も安いので、頻繁に振込みを行う人は是非!
ローンの相談をしたい
カードローン、車のローン、教育資金の相談などお金を借りる相談をしたい人は、ローン専門拠点一択です。
ちなみに、近所の支店(フルバン支店)でもローンの相談は受付けています。しかし、ローンに不慣れな銀行員が多い、また来店客が多い等の理由で時間がかかることが多々あります。
土日も開いているローン専門拠点が間違いなくオススメです!
住宅ローン以外のローンであれば、インターネットで申込むことが可能です。申込み項目の全てに入力するのが大変ですが、いつでもローン申込みできるのは大きなメリットですね!
家を買うので相談したい
家を買うので、資金繰りの相談をしたい。住宅ローンの返済計画を聞きたい。そんな人もローン専門拠点にいきましょう!
住宅ローンの相談は、必ずローン専門拠点の専門家に相談すべきです!
資産運用の相談をしたい
お金に余裕がある人は、資産運用専門拠点または近所の支店(フルバン支店)に行きましょう。
資産運用専門拠点であれば、間違いなく良いサポートを受けられます。
一方、近所の支店(フルバン支店)については、皆が並んでいるハイカウンターではなく、座って相談ができるローカウンターに行きましょう。
ハイカウンターはパート従業員で銀行ではないことがほとんどなので、資産運用の相談はできないのでご注意を!
保険の相談をしたい
生命保険・損害保険の相談、既存の保険契約の見直しは、保険専門拠点一択です。
貸金庫を借りたい
貸金庫は、一部の支店にしかありません。
確実に貸金庫があるのは本店営業部。しかし、本店営業部の貸金庫は人気なので空いてないことが多いです。
近所の支店に貸金庫がないか、銀行に問合せて、訪問する支店を事前に決めておきましょう。
事業の相談をしたい
事業用のお金の相談は、近所の支店(フルバン支店)または法人サービス特化型の支店に行きましょう。
昨今では、法人特化型のサテライトオフィスの開店が広がっており、意外と近くに事業の相談ができる拠点があるものです。
銀行側としては、事業用融資は銀行収益の柱ですので、手厚いサポートが期待できます。
地方銀行を中心に、法人ポータルという名の法人向けのインターネットサービスが拡大しています。このサービスは、特にスモールビジネス先をターゲットとしており、今から事業を立ち上げる人に向けたサービスが多くあります。
まとめ

銀行の本店と支店は全く異なる存在です。
- 本店
銀行の登記上の所在地を示す言葉で、支店でも本部でもない存在です。他業界でいう本社のようなものです。 - 支店
銀行サービスを皆さんに提供する拠点。お客様にお越し頂く拠点であり、外回りの営業マンが待機する拠点でもあります。
また、皆さんの身近にある支店には複数の種類があり、それぞれ可能な取引が異なります。
行った先の支店で「その取引はできません」と言われないよう、今一度ご自身の用事を整理して『銀行への用事別の行くべき拠点』を確認しましょう!