現役銀行員が地方銀行における出世の全てを赤裸々に公開します!
この記事では、「この部署にいけば出世する」や「出向したら出世、間違いなし」といった表層的な話はしません。
まずは
皆さんが思い浮かべる出世とは何か?
を定義したうえで、
出世の定義ごとのキャリアパス
を紹介します。
冒頭お伝えしたい・・・
エリート部署に配属されれば必ず出世するわけではありません。銀行で出世コースに乗るには、配属先で成功し続ける必要があります。

詳しくは、本文にて!!
どこまで昇りつめることを出世というか?

出世の定義は、人によって大きく異なります。
ポイントは、どの職位まで昇りつめることを出世と捉えるか。
地銀での出世コースを紹介する前に、そもそも出世とは何か?
ご自身の考え方に近いものを探しましょう!

後半は、ここで紹介する出世の捉え方ごとに出世コースの具体例を解説します。
経営トップに昇りつめたい!
銀行に入ったからには、頭取を目指すのは当然のことじゃないかな?
ドラマ半沢直樹より、大和田常務の言葉
出世とは、その企業の経営トップに昇りつめること。
このように考える人は、出世とは頭取になることと捉えていることでしょう。
頭取という名の特別感
銀行における絶対的権力
誰も逆らえない高貴な存在・・・
銀行員になったからには頭取のほかに何を目指す!?
とはいえ、あまりにも浮世離れした存在。
頭取を目指す人は、意外と少ないのが実態です。
役員になりたい!
老後の生活に入り、孫から質問されるシーンを想像してみてください。

おじいちゃんは何のお仕事してたの?
「おじいちゃんはね、銀行の役員をやってたんだよ」
ドドーーーンッ!!

孫、ビックリ!
どうですか!?
このパンチ力ある回答!
役員まで出世すると間違いなく「おじいちゃん、すごい!」となります。
頭取とはいかないまでも、役員まで昇りつめることを出世と見なす人はかなり多いです。
支店長になりたい!
銀行における支店長という職位には、特別なものがあります。
支店長とは、いわば支店の社長。
例えば
- 支店内の人事権
- 与信の決裁権限(金額上限あり)
- 店内経費の執行権限
- 地域における名士としての扱い
- 地域金融団の顔役
- 経済同友会・経済クラブ等での重要ポスト
など銀行内外で強力な権限を持ち、特別扱いされるのが支店長です。
また、先に紹介した「役員に昇りつめたい!」同様に、
「銀行の支店長やってました」
という経歴はなかなかのインパクト。
銀行に入ったからには、支店長になりたいと考える人が最も多いのではないでしょうか。
銀行で出世コースにのるための条件

地方銀行の場合、出世するための必須条件はありません。
これは、先に紹介した3つのパターンいずれも同じです。
必須条件として勘違いされがちなことを一つずつ見ていきましょう。
銀行で出世コースに乗る人の共通点

出世に必須条件はありませんが、出世する人にはいくつかの共通点があります。

この共通点が、必須条件に見えるのかもしれませんね。
当り前のことから、意外性のある共通点まで一気に紹介します!
どの部門でも活躍
出世する人は、どの部門にいても活躍しています。
銀行のセクションは大きく営業店と本部に分けられます。営業店では数字をバリバリ取れるけど、本部での企画業務や管理系の仕事がてんでダメだと出世は遠のきます。

出世する人は営業も難しい融資も何でもできるのが当たり前。
また、本部においても様々な部署で活躍し、より上位の部署にステップアップするのが出世する人たちが歩む道です。
専門分野を持っている
出世する人は、どの部署でも活躍すると同時に、特に秀でた専門分野を持っている人が多いです。
これは、企業ブランディングで語られる『〇〇と言えば?』と問われたとき、真っ先に想起される企業になるべしという理論と同じ考え方。
専門分野は狭くても構いません。例えば
狭い分野でも良いので何かのスペシャリストになることが重要です。
偉い人との人脈
人事権を持つ偉い人たちの立場にたつと、重要なポストの適任者を検討する際、知らない行員よりも知ってる行員を登用するのは自然なことです。
なぜなら、偉い人たちには任命責任があるから。
どんなに仕事ができる優秀な人でも、偉い人たちが直接的にそれを知らなければ、抜擢されにくいです。
したがって、銀行で出世するためには
といったアクションが大切です。
また業務以外にも、高校・大学の同窓の会や共通の知人など、偉い人と積極的に接点を持つようにしましょう!
敵がいない
執行役員以上に出世する人は、敵がいない人が多いです。
敵がいない人には、真逆の2種類があります。
- 敵ができないくらいの人格者
皆に愛され、仕事もできるから出世するパターン。 - カリスマ
仕事が尋常なくでき、謎のオーラを発するカリスマ。あまりの強さに、敵ができないパターン。
ちなみに、頭取になる人は1.の敵ができないくらいの人格者が多いです。

銀行の出世コース ~地銀編~

ここから、いよいよ本題の銀行における出世コースを大解剖します。
冒頭でお伝えした3つの出世の捉え方
- 経営トップに昇りつめたい!
- 役員になりたい!
- 支店長になりたい!
それぞれについて、出世コース・出世のポイント・出世の現実などを詳しく紹介します。
絶対に役に立つ内容です!
経営トップに昇りつめるには?
頭取への道は極めて厳しい道のりであり、なれるかどうかはタイミング次第。
頭取を目指す人にとっては悲報かもしれませんが、以下の点を認識しておきましょう。
以上の事実を踏まえた上で、将来の頭取が歩みがちな出世コースを紹介します!
- 当然、仕事はできますが、必ずしも営業成績がぶっちぎりトップというわけではありません。
- 営業成績よりも、周囲との協調性・マネジメント力・調整力など組織ガバナンス力が群を抜いて高い人がトップになることが多いです。
- また若かりし頃、役員になる支店長の下で働いているのも特徴の一つ。
- 管理職以降のキャリアは、そのほとんどを本部で過ごします。
- 必ず一度は就くのが、全社を見渡せるポスト。
- 最も多いのが経営企画部門のトップ。
- 人を見渡すという意味で人事部門の経験も。
- 金融庁が推す監査部門(監査役含む)も。
- プラスして、その人の個性となる権力が大きい部署のトップにも就きます。
- 最も多いのが営業の企画部門。
- 近頃は、法人営業部門がアツい。
- トラディショナルな融資審査部門も無きにしも非ず。
- 銀行の本丸・本店営業部を経験するケースも。
- 執行役員以上になってからの出世コースは、銀行によって異なります。
専務や副頭取など必ず2番手を経験させる銀行もあれば、執行役員をいきなり頭取にする下剋上ありの銀行も。
役員になるには?
金融庁は、上場企業に対して役員体制における多様性の確保を求めています(金融庁資料)。
多様性を表すスキルマトリクスを見てみましょう。
例えば横浜銀行のスキルマトリクス。

- 企業経営・組織運営
- 地域営業
- 法務・リスクマネジメント
- 財務・会計
- 国際・市場運用
- ICT・デジタル
という6つのスキル分野を全て満たすよう役員体制を構築しています。
以上を踏まえると、役員になるためにはこのようなスキル分野の中でズバ抜けた実績を上げ、深い知見を有することが重要になります。
あわせて、同年代に同じスキル・専門性を持ったライバルがいないことも重要です。

先に紹介した「専門分野を持つことの重要性」に繋がる話です!
ということで、銀行で役員になる人の出世コースの実例を見ていきましょう!
- 若かりし頃から、営業店で数字を上げまくってる人はこのコース。
- 異動のたびにエリア中核店(母店)に配属になると、営業系の役員への道が見えてきます。
- また、30~40代前半で本部の営業部隊に配属になるパターンも多いです。本部営業では、上場企業やベンチャー企業を担当したり、あるいは特定の金融商材を専門に扱ったり、営業店ではできない経験ができます。
- 40代以降は、支店長として実績を積み、本店営業部や執行役員支店長などを歴任するコースが一般的です。
- 様々な部署で実績をつみ、スキルマトリクスをたくさん埋められる役員という道もあります。
- 歴任する部署は、
- 企画部門(経営企画部、総合企画部など)
- 人事部門(人事部)
- 営業統括部門(営業統括部、営業企画部など)
- 本部営業部門(法人営業部、ソリューション営業部など)
- 審査部門(法人審査部、融資部など)
- よくあるのが、企画部門と営業統括部門を行き来する営業企画スペシャリスト、企画部門と人事部門を経験するコーポレート部門スペシャリスト。本部営業部門と審査部門を経る法人営業スペシャリストなどがあります。
- ここまで出てこなかった部署に配属になった人には、専門分野を極めし役員の道があります。
- 例えば、
- 国際業務部門(市場金融部、国際営業部など)
- 主計部門(主計室、収益管理室など)
- デジタル部門(IT関連、デジタル戦略部など)
- 特に、国際業務部門は銀行の中でも特殊性が高いため、専門家として長期在籍するとともに部内で出世していくというパターンになります。
- 注意点は、同世代で同じキャリアを歩んだライバル。もしライバルがいれば、役員の座を巡る戦いになります。
支店長になるには?
最後に、銀行員になったら誰しもが目指す支店長。
本部の管理職も含めた支店長クラスへの出世については、結論、人並みに仕事ができれば誰でもなれます。
普通に仕事ができているのに支店長クラス(管理職)になれない人には、以下の特徴があります。
以上の特徴が無ければ
どんな支店・部署に配属になっても、全力で業務に励めば、必ず管理職になれます。
一所懸命に頑張って成果を出せば、その姿を必ず誰かが見ています。
支店長クラス(管理職)になるには、努力し続けることが重要です。
その上で、最後にどんな部署が出世コースに乗りやすいのかを一気に紹介していきます!

企画部門(経営企画・総合企画)
先ほどからでてきている企画部門。
企画部門に配属になった時点で、その人の実力は銀行に認められています。
将来、銀行を背負うことを嘱望されし選ばれた民です。
思い上がることなく、自己研鑽と努力を続けましょう!
営業部門全般(営業企画・本部の法人営業)
抜群の営業成績、成績はそこそこでも営業センス・営業手法などが認めらると、営業系の部門への配属になります。
そんな営業部門は、銀行の中でも企画部門に次ぐ権力を持つ強大な組織。
営業部門内で出世していくもアリ、営業スキルをさらに磨いたのち営業店で活躍するコースもあります。
常に営業力を向上させ、お客様に価値提供できるよう自己研鑽と努力を続けましょう!
人事部門
人事権を持ち、人事情報を握る権力者が人事部門。
銀行内部のセンシティブな情報を使い、銀行を影で支配する人事部門に配属になる人は有望株。
また、人事権を持っているから、自らの出世もある程度は思うがまま。
銀行の重要な資産『人』を最大限に活かせるよう、自己研鑽と努力を続けましょう!

デジタル部門(デジタル戦略部)
銀行には2つのデジタル部門があります。
- 守りのデジタル
- 攻めのデジタル
守りのデジタルは、旧来的なシステム部門で、システムの運用・管理を担います。
もう一方の攻めのデジタルは、デジタル技術を使った銀行変革を目指す部門で、こちらは出世コースと言えます。
ただし、銀行におけるデジタルトランスフォーメーションはハードな仕事。
自己研鑽と努力を続けることで、新しい銀行を創りましょう!
外部機関への出向
今も昔も、若い頃の外部出向は出世コースです。
期待が大きい外部出向先は
- 金融庁などの省庁
- 日銀
- メガバンクなど他行
- 重要な取引先
などが挙げられます。

関連会社への出向は、内部出向。
出世は期待できません。
外部出向先での自己研鑽と努力により、更にレベルアップして、出世街道を走りましょう!

エリア中核店(母店)
エリア中核店(母店)に配属になる人には、2種類があります。
- バリバリスーパーエース
- 普通の銀行員
バリバリスーパーエースのみが出世するわけでなく、エリア中核店に配属になった普通の銀行員にも出世のチャンスはあります!
それは、バリバリスーパーエースの側で働くことで、ノウハウを吸収し格段にレベルアップできるから。
エリア中核店で、優秀な人たちと切磋琢磨し、自己研鑽と努力を続けましょう!
まとめ

銀行における出世には、以下3の捉え方があります。
結論、頭取になるには努力ではどうしようもない側面が強くありますが、役員や支店長クラス(管理職)になるためには、自身の努力で出世コースに乗ることだけが重要です!
周りに流されず、自己研鑽を続けていれば、以下のような出世できる部署にきっと移動できます。
筆者は、キャリアの途中まで普通の銀行員でした。
しかし、外部出向を通じて、営業部門・デジタル部門などを経験し、そこそこ将来を嘱望されています。
この記事を見ている皆さん!
キャリアを諦めることなく、努力し続けて、出世コースに乗りましょう!