銀行のキャッシュカードの中で最もセキュリティが高いのは生体認証キャッシュカードです。
しかしながら、生体認証キャッシュカードさえあれば、キャッシュカードに関わる犯罪を全て防止できるわけではありません。
本記事では、生体認証キャッシュカードの
の4点について解説します。
この記事を読むと、生体認証キャッシュカードを持つべきかどうかのヒントを得られます。
是非ご覧ください!
生体認証キャッシュカードとは

生体認証キャッシュカードとは、
- あらかじめカードに、指の静脈を登録しておき
- ATMで取引を行う際、ATMで指の静脈を読み取り
- ATMが読み取った静脈とカードに事前登録した静脈が一致したら
- 出金や振込みなどの取引が可能になる
そんな機能を持つキャッシュカードのことです。
よくある勘違い
あまり馴染みのない生体認証というワードに心配・懸念を抱く人も多くいます。
生体認証キャッシュカードの心配や勘違いについて一つずつ解説していきます。

生体って何?
指紋とは違うもの?
生体とは、生きている状態の体の一部分のこと。
生体認証キャッシュカードの生体は指の静脈です。
指の静脈をATMで認証することで、取引が可能になります。

指をケガしたらどうなるの?
少しの傷なら問題ありません。軽度の手荒れや湿疹・ひび割れなども大丈夫。
また、認証用の静脈は2本の指から取ります。片方の指に大きなケガをしても、もう片方の指の静脈で認証することが可能です。

静脈の登録やATMでの読み取りって痛いの?
事前の静脈登録、ATMでの静脈読み取りともに全く痛くありません。専用のセンサー機に指を入れて数秒で処理が終わります。
もちろん血が出ることも、腫れたりすることもありません。
いつ頃できた機能か?
2001年に日本で最初の偽造キャッシュカードによる不正出金被害が確認されたことで、金融当局が生体認証キャッシュカードの導入を後押し。
その後、2005年に三井住友銀行で初めての生体認証キャッシュカードが発売されました。
つまり、生体認証キャッシュカードは最新鋭の技術を使って…、ということではなく20年以上も前からあったカードという点は認識しておきましょう!
生体認証キャッシュカードのメリット

生体認証キャッシュカードのメリットは、他者の悪用を防止できる点。この1点のみです。
カードの持ち主の指静脈をATMで読み取らないと取引できない。この機能により、以下のケースで悪用を防止することができます。
- カード盗難時の悪用
カードを盗まれたとしても、持ち主の指静脈が無い限りATMで出金することはできません。 - カードの偽造
カードの偽造は、磁気ストライプを偽造する技術であり、生体情報まで偽造することはできません。 - スキミング
ATMに磁気読取り機(スキマー)を不正に設置し、磁気情報を盗むスキミング。生体認証キャッシュカードはスキミングできません。
生体認証キャッシュカードのセキュリティの高さがお分かり頂けたと思いますが、1点だけ重要な注意点があります。
それは、生体認証キャッシュカードは生体認証対応型ATMで使わないと意味がないという点です。
生体認証に対応していないATMの場合は、他のキャッシュカード同様に磁気ストライプやICチップでの取引となります。

つまり、悪意ある人が生体認証キャッシュカードを持って、普通のATMに行けば通常どおりの取引が可能ということです。
生体認証キャッシュカードのデメリット

セキュリティが高い生体認証キャッシュカードですが、実は多くのデメリットがあります。具体には以下の5点です。
- 発行手数料がかかる
新たにカードを発行する際、550円~2,200円(税込)ほどの手数料がかかります。 - 支店に行く必要がある
カードが郵送された後、支店で指静脈の登録が必要です。また、定期的に行われるカード更新時も支店を行って指静脈の登録を行わないといけません。 - 家族も使えない
生体認証キャッシュカードは持ち主の指静脈が必須。したがって、家族に「ちょっとお金おろしてきて」と頼んでも、家族でもATM取引できません。 - 取引のとき時間を要することも
気温が低いと血の巡りが悪くなり、指静脈がうまく読み取れないことがあります。そうなると、取引時間がかなりかかってしまいます。 - 普通のATMだと全く意味がない
前述のとおり、生体認証対応型ATMでなければ、他のカード同様に磁気ストライプでの取引になるため、セキュリティが下がります。
他のカードとの比較

弱点も多い生体認証キャッシュカード。
そもそも他の種類のキャッシュカードと比べて、どのくらい優れているのか?
この章では、
との生体認証キャッシュカードの比較した結果を解説します。

通常のキャッシュカードとの比較
生体認証キャッシュカードのメリットは以下3つの不正行為を防止できる点でした。
- カード盗難時の悪用
- カードの偽造
- スキミング
通常のキャッシュカードでは上記3つに対しては
- カード盗難時の悪用
カードを盗難した場合、暗証番号も知られたら悪用されます。逆に言えば、暗証番号さえ漏れなければ大丈夫。 - カードの偽造
磁気ストライプの偽造は下火になったとはいえ、通常のキャッシュカードでは防ぐことは困難。 - スキミング
昨今、スキミング防止機能付きのATMが普及しており、通常のキャッシュカードでも危険性は低いです。
ということで、生体認証キャッシュカードに優位性があるのはカードの偽造を防げる点くらいと考えられます。
一方、生体認証キャッシュカードの5つのデメリット。通常のキャッシュカードでは以下のとおりです。
- 発行手数料は…
かからない。 - 支店に行く必要は…
当然なし。 - 家族は…
使える。ただし禁止事項なので自己責任で。 - 取引のとき時間を要することは…
特殊な操作は無いので時間はかからない。 - 普通のATM…
だろうが何だろうがセキュリティは一定。
まとめると、お金・手間などをかけてでもカード偽造を中心とした不正利用を可能な限り防ぎたい人は生体認証キャッシュカードを持つべきです。
そうでなければ、通常のキャッシュカードでも差し支えありません!
ただし、暗証番号が他人に漏らさない点だけは絶対に注意しましょう。
IC付キャッシュカードとの比較
次はIC付キャッシュカードとの比較です。
まずは、生体認証キャッシュカードで防げる3つの不正行為。IC付キャッシュカードでは以下のとおりになります。
- カード盗難時の悪用
カードを盗難した場合、暗証番号も知られていたら悪用される。逆に言えば、暗証番号さえ漏れないようにすれば大丈夫。 - カードの偽造
生体認証キャッシュカード同様に防止することが可能。 - スキミング
生体認証キャッシュカード同様に防止することが可能。
次は5つのデメリット。IC付キャッシュカードでは以下のとおり。
- 発行手数料は…
基本かからない。 - 支店に行く必要は…
当然なし。 - 家族は…
使える。ただし禁止事項なので自己責任で。 - 取引のとき時間を要することは…
特殊な操作は無いので時間はかからない。 - 普通のATM…
だろうが何だろうがセキュリティは一定。
ということで、ご覧のとおりIC付キャッシュカードは、生体認証キャッシュカードに非常に近いレベルでのセキュリティがありつつ、デメリットが少ないカードです。
現役銀行員としては、IC付キャッシュカードで十分であると考えています。
まとめ


生体認証キャッシュカードは、ATM取引時に指静脈の認証が必要なので、悪意ある第三者の以下の不正行為を防止することができます。
- カード盗難時の悪用
- カードの偽造
- スキミング
一方で、以下5つのデメリットもあります。
- 発行手数料がかかる
- 指静脈の登録のため支店に行く必要がある
- 家族も使えない
- 取引のとき時間を要することも
- 普通のATMだと全く意味がない
現役銀行員の視点から言うと、正直IC付キャッシュカードで十分と感じます。
この記事の内容を参考に、ご自身にあったキャッシュカードを選択しましょう!