スマホを顔認証で開けるこの時代。
銀行のキャッシュカードは生体認証(指静脈)にすれば最強に安全!……そう思っていませんか?
現役銀行員の視点から言わせれば、生体認証キャッシュカードは完全に安全ではない上に使いにくい代物です。
この記事では、かつて最も安全と言われた生体認証カードの基本と、2026年現在の銀行業界における実態をぶっちゃけます。各章へのリンクは以下のとおりです。
これを読めば、あなたがどのカードを持つべきか、一瞬で判断できるようになりますよ。是非ご覧ください!
生体認証キャッシュカードとは

生体認証キャッシュカードとは、以下の機能を持つカードのことです。
- 予めカードに指の静脈を登録し
- 取引時にATMに手をかざして
- 事前登録した静脈との一致を確認して取引可能になる
金融庁が発表した「偽造キャッシュカード問題等に対する対応状況(2024年3月)」によると、キャッシュカードを発行している銀行520行のうち、生体認証カードを発行しているのは130行。全体の25%ほどです。
よくある勘違い
あまり馴染みのない生体認証というワードに疑問を抱く人もいると思います。
よくある疑問について一つずつ解説していきます。

生体って何?指紋とは違うもの?
生体とは、生きている状態の体の一部分のこと。生体認証キャッシュカードでは指の静脈を生体として登録します。

指をケガしたらどうなるの?
ケガ、手荒れや湿疹等が軽度であれば全く問題なし。
もし大きなケガであっても、認証用の静脈は2本の指から取るので、ケガしてない方の指の静脈で認証することが可能です。

静脈の登録やATMでの読み取りって痛いの?
事前の静脈登録、ATMでの静脈読み取りともに全く痛くありません。専用の機械に指を入れて数秒待てば手続き終了です。出血することも腫れることもありません。
いつ頃できた機能か?
2001年に日本で最初の偽造キャッシュカードによる不正出金被害が確認されたことで、金融当局が生体認証キャッシュカードの導入を後押し。
その後、2005年に三井住友銀行が日本初の生体認証キャッシュカードの発行を開始。
つまり、生体認証キャッシュカードは最新鋭の技術を使って…、ということではなく20年以上も前からあったカードという点は認識しておきましょう!
生体認証が廃れた2026年の銀行事情
先ほど紹介したとおり、生体認証カードを導入している銀行は全体25%程度。フィンテックやDXが進む今、なぜ普及が進まないのか?
それは、銀行としては生体認証カードよりスマホATMの方が安くて安全という認識が広がっているからです。
ATMに静脈センサーを設置・維持するには莫大なコストがかかる一方で、各人が持つスマホの指紋認証などを使えば、銀行はタダで生体認証機能を利用できます。
実際、最新のネット銀行や地銀のアプリでは、カードすら使わない「スマホATM取引」が主流になりつつあります(詳しくは記事「キャッシュカードなしでお金をおろせる銀行5選」)。
結論、生体認証カードは旧来的なキャッシュカードに、無理やり生体認証機能を付けた中途半端な過渡期の産物と言えるのです。
生体認証キャッシュカードのメリット

生体認証キャッシュカードのメリットは、他者による一部の不正利用を防止できる点のみです。
防止できるケースは以下のとおりです。
- カード盗難時の悪用
カードを盗まれたとしても、持ち主の指静脈が無い限りATMで出金できません。 - カードの偽造
磁気ストライプの偽造はできても、人間の生体情報は偽造不可能です。 - スキミング
ATMに磁気読取り機(スキマー)を不正に設置し、磁気情報を盗むスキミング。磁気は盗めても生体は盗めません。
生体認証キャッシュカードのセキュリティの高さがお分かり頂けたと思いますが、1点だけ重要な注意点があります。
それは、生体認証キャッシュカードは生体認証対応型ATMで使わないと意味がないという点です。
生体認証に対応していないATMの場合は、他のキャッシュカード同様に磁気ストライプやICチップでの取引となります。

つまり、悪意ある人が生体認証キャッシュカードを持って、普通のATMに行けば通常どおりの取引が可能ということです。
生体認証キャッシュカードのデメリット

セキュリティが高い生体認証キャッシュカードですが、実は多くのデメリットがあります。具体的には以下の5点です。
- 発行手数料がかかる
新たにカードを発行する際、550円~2,200円(税込)ほどの手数料がかかります。 - 支店に行く必要がある
支店にて指静脈の登録が必要。また、カード更新時にも支店で指静脈登録が必要です。 - 家族は使えない
取引時に持ち主の指静脈が必須なので、本人以外は取引できません。※そもそも家族がキャッシュカード使ってもいいのか?は下の記事をチェック! - 静脈認証に時間を要する
気温が低いと血の巡りが悪くなり、指静脈がうまく読み取れないと取引に時間がかかります。 - 普通のATMだと全く意味がない
前述のとおり生体認証対応型ATMでなければ、磁気ストライプでの取引になるためセキュリティは一般レベルに下がります。
他のカードとの比較

デメリットも多い生体認証キャッシュカード。そもそも他の種類のキャッシュカードと比べて、どのくらい優れているのか?
以下3つのカードと比べてみましょう。
- 通常のキャッシュカード
- IC付キャッシュカード
- 生体認証キャッシュカード
| 項目 | 磁気カード | ICカード | 生体認証カード | スマホ |
|---|---|---|---|---|
| セキュリティ | △(偽造カードの懸念あり) | ○ | ◎ | ◎ |
| 利便性 | ○ | ○ | × | ◎ |
| 発行コスト | 0円 | 0円 | 1,100円~ | 0円 |
| オススメ度 | × | ○ | △ | ◎ |

まとめ

生体認証キャッシュカードは、ATM取引時に指静脈の認証が必要なので、悪意ある第三者の以下の不正行為を防止することができます。
- カード盗難時の悪用
- カードの偽造
- スキミング
一方で、以下5つのデメリットもあります。
- 発行手数料がかかる
- 指静脈の登録のため支店に行く必要がある
- 家族も使えない
- 取引のとき時間を要することも
- 普通のATMだと全く意味がない
現役銀行員の視点から言うと、正直IC付キャッシュカードで十分と感じます。
この記事の内容を参考に、ご自身にあったキャッシュカードを選択しましょう!



