キャッシュカードを家族が使ってもいいのか?|現役銀行員の解説

キャッシュカード

キャッシュカードを家族みんなで使いたい!

長く銀行に勤めていると、よく耳にする言葉です。

この記事では、現役銀行員の視点から

  • キャッシュカードを家族で使ってもいいのか?
  • 家族がキャッシュカードを使ったときのペナルティ
  • 家族がキャッシュカードを使うときの注意点

の3点を解説します。是非ご覧ください!

キャッシュカードを家族が使ってもいいのか?

ルール

キャッシュカードには、銀行が規定する使用上のルールがあり、この規定に「キャッシュカードを家族みんなで使ってもいいのか?」の答えがあります。

今回は、三井住友銀行のキャッシュカード規定を参考に解説します。

キャッシュカードの貸与禁止

カードは、他人に譲渡、質入れ、その他第三者の権利の設定をしてはならず、また、他
人に貸与、占有または使用させることはできません。

キャッシュカードを他者に貸すことはおろか、渡すことも禁止されています。

このルールは、他の地方銀行や信用金庫などでも同じです。

  • みずほ銀行
    カードは譲渡、質入れまたは貸与することはできません。
  • 静岡銀行
    カードは、譲渡、質入れまたは貸与することはできません。
  • 城南信用金庫
    カードは譲渡、質入れまたは貸与することはできません。

ここで一つの疑問が・・・、家族は他人なのか?

次の項目をご覧ください。

家族が使った場合

家族がキャッシュカードを使うことに関する規定は、たった一つだけ。

それは、カードが盗難により不正利用されたときの規程です。

次のいずれかに該当することを当行が証明した場合には、当行は補てん責任を負いません。
A ・・・
B 本人の配偶者、二親等内の親族、同居の親族、その他の同居人、または家事使用人によって行われた場合

家族がキャッシュカードを勝手に使った場合、銀行は損失補てんを行わないという規定です。

「家族」に関連する規定は、上記のみ。

つまり、

  • 家族だったら使っていいという規定は無い
  • もし家族が勝手に使っても、銀行は損失補てんしない

という決まりになっており、家族がキャッシュカードを利用するハードルはむしろ高そうです。

となると、家族を含め他者が自分のキャッシュカードを使うことは一切できないのでしょうか?

次の項目をご覧ください。

代理人によるキャッシュカード利用

当行が認めた場合には、代理人による預金の預入れ・払戻しおよび振込の依頼をするこ
とができます。その場合には、本人から代理人の氏名および暗証を当店に届出てください。
この場合、当行は代理人のカードを発行します。

銀行に「自分に代理してキャッシュカードを利用する」という届出を行えば、自分以外の人もカードを使えます。

ただし、注意点が一つ。
代理人の届け出を行うと、新たに代理人カードが発行され、代理人はその新しいカードを使用します。つまり、カードを2枚保有し、それぞれで同じ預金口座の入金・出金を行うということです。

ということで、結論は以下のとおりとなります。

  • キャッシュカードを家族ふくめ他者に使わせてはいけない。
  • 家族が不正にキャッシュカードを利用したら、銀行は損失補てんしない。
  • 家族など他者にカードを使わせたいなら、代理人利用の届け出が必要。

これが、キャッシュカードを利用する上での原則ということです。

家族がキャッシュカードを使ったときのペナルティ

『キャッシュカードを家族ふくめ他者に使わせてはいけない』という原則を破った場合、銀行からのペナルティがあるのか?

現役銀行員の経験をふまえた結論をいうと、

銀行の規定上、カード利用の停止措置の可能性がある。しかし、家族の利用でカードを利用停止にされることはほぼ無い。

家族間で同意を十分に取った上での共同利用なら、銀行は暗黙的に容認しています。ペナルティを課せられることは基本ありません。

例えば、

  • ご主人名義のキャッシュカードを奥様が使う。
  • 親名義のキャッシュカードを大学に進学したお子さんが使う。
  • 入院した親名義のキャッシュカードを一時的に子が使う。

といった使い方を銀行が咎めることは基本的にはありません。

実際、銀行員も自分のキャッシュカードを奥様に使わせたり、親のキャッシュカードを預かるといったことは、ごく普通にあります。

ただし!
キャッシュカードの使い方によっては、銀行が不正利用とみなし何らかの措置を行うこともあります。

ということで最後に、家族がキャッシュカードを使うときに注意すべき点を紹介します。

家族がキャッシュカードを使うときの注意点

注意

家族間の同意のもとキャッシュカードを使う分には、銀行はさほど咎めない。しかし、キャッシュカードの使い方によっては、銀行が不正利用を疑い、何らかの措置を行う可能性もあります。

具体的に見ていきましょう。

頻繁な取引

銀行は、犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づき、預金口座が金融犯罪に使われていないかを日々チェックしています。

このチェック項目の一つが、1日に複数回の取引を行っていないかのチェックです。

本来は、詐欺で得たお金を入金する口座を検知するために行うチェック。

もしも、家族があなたのキャッシュカードを使って、1日に10回以上も入金・出金を繰り返すようなことがあると、銀行の目にとまり、何らかの調査が入る可能性があります。

普段ない高額取引

銀行が行う、預金口座が犯罪で使われてないかチェックのもう一つが、普段ない高額取引のチェックです。

普段は、給料など数十万円の入金しかない中、突然の1,000万円超えの入金。銀行としては資産運用のセールスを行いたい気持ちと「あれ?通常と違う取引だな」と疑う気持ちを持ちます。

このような取引が行われた場合、間違いなく銀行から電話がかかります。

電話の目的は「不正な入金ではないかのヒアリング」と「資産運用のセールス」。電話で聞かれたことに対しては、家族がキャッシュカードを使っていることを含めて、ありのままの事実をお伝えしましょう。

家族間の同意なき取引

家族がキャッシュカードを使う前提となるのは、『家族間でキャッシュカードを使うことをきちんと同意を得ていること』。

この同意がなく家族がキャッシュカードを使ったことで起きたトラブルについて、銀行は全く関与しません。

また、前述のキャッシュカード規定でも紹介しましたが、銀行は損失の補てんも行いません。

家族間でキャッシュカードを使う際には、

  • 家族間で十分に同意を得ること
  • 使う金額や頻度などを決めておくこと
  • 通帳などで取引内容を常に見れるようにすること

などを行い、便利に快く使えるようにしましょう。

まとめ

まとめ

キャッシュカードの家族間利用については、銀行の規定上は禁止されています。

しかし、

  • ご主人名義のキャッシュカードを奥様が使う。
  • 親名義のキャッシュカードを大学に進学したお子さんが使う。
  • 入院した親名義のキャッシュカードを一時的に子が使う。

など、常識の範囲内で利用するのであれば、銀行が特に咎めることはありません。

ただし、

  • 1日に10回以上の頻繁な入金・出金
  • 突然の高額取引
  • 家族間でトラブルになるような使い方

を行うと、銀行の何らかの措置が入る可能性が発生します。

キャッシュカードを家族間で共同利用する際には、十分な同意を得たうえで、キャッシュカードの使い方のルールを決めるようにしましょう!

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