銀行での出世は、銀行員にとって目標であり、働くモチベーションになるものです。

しかし、ときに予期せぬ出来事が出世の道をさえぎり、私たちは思いもよらない方向へと進むことがあります。
この記事では現役銀行員の実体験に基づき
- 銀行で出世から外れる要因
- 出世から外れるとどうなるのか
を紹介します。
出世から外れる理由を知ることで、出世し続けるためのコツが分かり、出世から外れた後を知ることで、左遷の心配や懸念が少し緩和されます。
この記事を読んで、銀行員生活を心豊かなものにしましょう!
銀行で出世コースから外れる理由

まずは何をしたら出世コースから外れてしまうのか?を紹介します。
出世コースから外れる理由を、自己責任の度合いが高い順に並べると
- 不正・不祥事
- 人事部門に逆らう
- 業務上の大きなミス
- 業績不振
- 体調不良
- 組織内の政治
の6つになります。
それぞれ詳しく見ていきましょう!
不正・不祥事
どの業界でも不正行為や不祥事は左遷や処罰の対象になるものですが、特に銀行では完全御法度で、出世の道を閉ざす最大の要因です。
特に認識しておきたいのは、銀行外で起こした不祥事も出世に大きく影響する点です。
銀行内での不正・不祥事といえば
などイメージしやすいと思います。
一方で、銀行外での不祥事としては
など世間一般的な犯罪行為が挙げられます。

不正・不祥事による出世コース脱落は、全て自己責任!
人事部門に逆らう
人事部門の方針に反する行動が原因で出世コースから外れることもあります。
人事部門に逆らうの典型的ケースが、人事部門が決めた辞令を拒否することです。
人事異動は数珠つなぎです。A支店からB支店に異動する人がいるなら、A支店にC支店から異動する人がいます。そんな人の異動の連鎖の中で、一人が事例を拒否したら異動全体に影響を与えます。
このように辞令など人事部門の決定に逆らうことは、人事部門の心証を極めて悪くします。
その他にも、
などの行為は、銀行でのキャリアの障害となる可能性があります。

業務上の大きなミス
『部下の手柄は上司のもの。上司の失敗は部下の責任』

これは、ドラマ半沢直樹で有名になった言葉であり、銀行員にとっては常識中の常識ですよね。
注目したいのは後半部分の『上司の失敗は部下の責任』。
なぜ、部下に失敗の責任を押しつけるか?
業務上の重大なミスは、出世の道を一歩後退させるから。
部下だろうが何だろうが、仕事のミスは全力で人のせいにしなければ、出世の道が遠ざかるのが銀行です。
重大なミスとは、
など様々なものがあります。
業績不振
業務上の大きなミス同様に、業績不振が続くことも出世コースから外れる原因の一つです。
他の業界もそうですが、ノルマを達成できない人は出世しにくいもの。
企業の年度予算計画を達成するに必要な収益を、個人に割り振ったものが各人のノルマ。そう考えると、ノルマ未達成の人が出世しにくいのは、ある程度やむを得ないことです。
若い方でノルマに苦しまれている方は、下の記事をご覧ください!

体調不良
出世コースを外れる原因の中で、最も悲しいのが長期にわたる体調不良による出世コース脱落。
乱れた生活を送っているわけでもなく、体調不良になった本人にとっては不可抗力な健康問題。
一方、銀行側としては健康問題がある人に重要な職位を任せられないという言い分があります。
銀行員には、心身ともに健康な日々を送る努力が重要です。
組織内の政治
職位が上に行けば行くほど、出世コース脱落の要因になってくるのが銀行内の政治です。
私が勤める銀行はもちろん、他の銀行のどの知り合いに聞いても「大なり小なり派閥がある」と言います。
権力争いに負けた派閥の中核メンバーを担っている人などは、左遷や降格はあり得ませんが、日の当たりにくいセクションに異動するケースがあります。
長く銀行で働いていると、人事異動を見て『今回は頭取派閥の人事が炸裂したな!』といったことが分かるようになります。
そのくらい銀行では
などが出世に大きな影響を与えます。
出世コースから外れた後どうなるのか?

出世コースから外れる6つの理由は、それぞれ事情や背景が異なります。
一方、出世コースを外れた後の銀行員生活は、どんな理由でも同じような生活が待っています。
また、出世コースを外れることはデメリットばかりでなくメリットもあります。
詳しく見ていきましょう!
職位は変わらない
不正・不祥事による出世コース離脱を除き、出世コースを外れても職位(役職)は保持されることが多いです。
例えば、銀行内の派閥争いに巻き込またり、体調を壊したなどの理由で降格することは絶対にあり得ません。
職位(役職)は保持されるのが基本。逆に言えば、出世(昇格)がなければ降格もないということも言えます。
閑職に追いやられる
出世コースから外れると、職位(役職)は保持ですが、人事異動での出世コース外しは行われます。
人事異動の発令で、バリバリエースだった人の閑職への異動。
そんな時は、

不祥事を起こしたのかな?
それとも、役員や人事に歯向かったか…
などと想像してしまうのが銀行員のサガですね!
追い出し部屋は無い
閑職に追いやられることはあっても、ドラマであるような追い出し部屋みたいな部署は存在しません。
日本経済が成長し、働き手が豊富だった時代は追い出し部屋があったのかもしれません。
しかし、人手不足の昨今は実質的に仕事から遠ざけるような追い出し部屋はあり得ません。
給料は減るものの…
出世コースから外れると以下の要因で、給料は減るでしょう。
ただし、職位が保持されている限り、給料が大きく下がるわけではありません。
そもそも給与が高い銀行員。人並みの生活は送れるでしょう。
プライベートの時間は増える
出世競争から一歩退くことで、イイコトもあります。
それが、プライベートの時間が増え、趣味や家族との時間を楽しめること。
プライベートの時間が増えることは、仕事に追われる時間が減ることと同義です。
ノルマのプレッシャーやミスが許されない緊張感から解放され、精神的な健康が向上する可能性が大いにあります。
出世コースから外れた後、復活するためには?

ここまで記事を見て『自分は左遷されたかも…』と気がついたあなた。
当り前ですが、これで人生終わりではありません!
これからの行動で人生が好転し、今まで以上に充実した日々を取り戻せるかもしれません。
そのために、どのような行動を取るべきか?
私が属する銀行で、なかば伝説化している実際のエピソードとともに紹介します。
左遷からの復活
しかし、関連会社へ出向してからが凄かったAさん。
関連会社では、孤軍奮闘で営業活動に励み、これまで以上の営業成績をあげます。
また、銀行での苦い経験を糧に周囲との協調・対話を重んじることで、最終的には役員直轄の企画部門のチーフに。
関連会社の中期経営計画の策定に携わることで、企画業務の才能も開花。
その華々しい活躍に、本体の銀行が黙っていませんでした。2年後には銀行の企画部門に返り咲きました。
たとえ出世コースを外れたとしても、
- 自身の弱みを改善
- 信念は曲げずに
- 得意の営業に全力投球
- 新たな業務にも取り組む
といったことを続けて、結果として関連会社に出向させられる前よりも重要なポジションに就くことになりました。
転職して大成功
そんなBさんは、切り替えが早かった。
超へき地の支店に飛ばされるや否や、すぐに銀行を辞めて、財務コンサルティング会社を設立。
新会社は、学生時代の仲間と立ち上げ、付き合いがあった税理士や会計士とアライアンスを組むことで、盤石な組織体制を構築。
業績はすぐに軌道に乗り、さらに業界で有名になった企業評価指標を独自に生み出すなど、今でも大活躍しています。
Bさんの場合、
- 銀行が自分に合わないと判断し
- 自分がやりたいことを模索
- すぐに会社設立に動き出す
という凄まじい行動力で、新たな道を切り拓いていきました。
まとめ

銀行で出世コースから外れる原因には
- 不正・不祥事
- 人事に逆らう
- 業務上の大きなミス
- 業績不振
- 体調不良
- 組織内の政治
の6つがあります。
原因が何であろうと、出世コースを外れると
- 職位が変わることは少ないものの、閑職に追いやられ
- 残業や昇給が減ることで給与も停滞する。
- 一方で、プライベートの時間ができる
といった状況になります。
出世コースを外れても、努力を継続する、あるいは切り替えて新たな道を切り拓くことで、人生は豊かなものになります!
何が起きても、落ち込んだ後は気持ちを立て直して、また頑張っていきましょう!