銀行の「組合にいくと出世する」は本当?|現役銀行員が語る労働組合の真実

銀行員を極めたい

知り合いの銀行員から「組合に異動になった」と告げられ

「・・・」

となったそこのあなた!

組合といっても、銀行には労働組合・従業員組合・健康保険組合の3種類があります。

まずは、可能性が最も高い労働組合への異動と想定しつつ、この記事を読み

  • 各組合の役割
  • 配属された銀行員の出世
  • 各組合の今後の展望

を学び、相手の銀行員の立場や将来性を理解することで、良きサポーターになりましょう!

銀行における組合の真実とは?

是非ご覧ください!

労働組合以外の組合

冒頭お伝えしたとおり、銀行の中には3つの組合があります。

  • 労働組合
  • 従業員組合
  • 健康保険組合

特に労働組合と健康保険組合ではそれぞれの役割、配属になった場合の人事的な意味合いが大きく異なります。

詳しく解説していきます!

労働組合

労働組合とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を目的として組織する団体。

厚生労働省

雇用主である企業に対し、労働者は弱い立場に置かれがちです。

経営者から、労働環境や給与などに関して厳しい条件を突きつけられた場合、労働者一人ひとりが経営に立ち向かうことは困難です。

そこで、労働三法の一つである労働組合法に基づき、労働者は団結して企業側に団体交渉を行ったり、ストライキなどの団体行動を起こすことができます。

この際、労働者が結成する団体が労働組合です。

労働組合は以下のような取組みを通じて、働きやすい労働環境の構築に努めます。

  • 労働条件や労働時間の改善
  • 休暇制度など福利厚生の向上
  • 不当解雇の防止や異議申し立て
  • 職場内の問題提起と改善要望

従業員組合

従業員組合は労働組合と似た組織ですが、以下のような決定的な違いがあります。

  • 組織形態
    労働組合は、労働組合法に基づく組織。従業員組合は、法律に定められない非公認団体。
  • 組織目的
    労働組合の主な目的は、労働環境の改善。従業員組合は、従業員の親睦や共同活動を通じた組織結束を目的とすることが多い。
  • 加入者
    労働組合は、管理職を除く一般従業員。従業員組合は、管理職を含む従業員全般。

従業員組合は、労働環境の改善などを目的としておらず存在意義に欠ける側面があり、設置している企業は非常に少ないです。

健康保険組合

健康保険組合は、健康保険法に基づき国が行う被用者医療保険事業を代行する公法人である。

Wikipedia

従業員が700人以上いる企業で設立可能な医療保険事業を行う組織が健康保険組合です。

健康保険組合では、従業員とその家族のための医療保険だけでなく、健康診断や人間ドックなどの手配、健康維持のための様々なサービスを提供しています。

組合への異動とは・・・

なぞ はてな

銀行員が「組合に異動になった」と言ったら、労働組合への異動であることがほとんどです。

従業員組合は銀行から公認されているケースが少ないため、人事異動の一環として従業員組合に異動すること自体ほぼありません。

一方、健康保険組合は銀行が認可する組織であり、人事異動で配属されることがあります。しかし、健康保険組合に異動するのは、50歳以上の役職定年を迎えた人がメインです。

もし若い銀行員が健康保険組合に異動になったとしたら、「おめでとう」とは言いがたい何らかのアクシデントがあったはずです。

労働組合への異動は出世なのか?

銀行において労働組合への異動が出世とされるかどうかは、時代によって異なります。

結論から言うと、過去は労働組合への異動は出世とされてきましたが、今は確実な出世コースとは言えません。

ということで、労働組合への異動について、過去・現在・将来ごとに詳しく見てみましょう!

過去

過去は、労働組合での勤務が出世にプラスとなる場合が多かったです。

その理由には、2つの側面があります。

一つは、経営との接点を持てる点です。労働組合は、従業員を代表して労働環境の改善要望や賃上げなどについて、経営陣に交渉します。

経営との交渉を通じた成長とともに、経営陣の考え方を直に聞けるという貴重な経験も得られます。

さらに言えば、タフな交渉を行うことで経営陣からも認知され、場合によっては次世代のリーダーと見なされるチャンスも得られます。

二つ目は、そもそも優秀な人が労働組合に異動する点です。

以前は、銀行内での影響力や評価が高い人が労働組合に異動になることが多く、労働組合での経験を積んで順当に出世する人が多くいました。

現在

現在では、労働組合活動に従事することが出世に繋がるとは言えません。

バブル崩壊後の失われた30年。銀行も長らく停滞してきました。そのため、労働組合の主な役割である賃上げや賞与UPなどの労働条件の改善はそもそも不可能。

役割を奪われた労働組合の存在感は非常に薄れてきているのが現状です。

将来

では、労働組合での活動の将来はどうか?

長らく続いた経済停滞も底が見え、2025年現在では政策金利が上昇。銀行法改正による規制緩和など、銀行を取り巻く社会情勢は良くなっています。

今後は、銀行業績の向上とともに、テレワークや育休取得、副業解禁や職能制度など人事変革により銀行員が働く環境が激変する可能性が大きくあります。

そんな中、労働組合への期待・役割も大きくなることが予想されるため、少なくとも今よりは労働組合で働くことが銀行員としてのキャリアにプラスに働くようになると考えられます。

まとめ

まとめ

銀行における組合には3種類あります。

  • 労働組合
  • 従業員組合
  • 健康保険組合

「組合に異動した」となると、多くの場合が労働組合への異動です。

昔は労働組合への異動というと、エース級の銀行員が選ばれ様々な経験を積めるという点で、出世コースと言われていました。

しかし、現在では銀行における労働組合の存在感は薄れており、必ずしも出世と結びつくわけではありません。

今後、銀行と銀行員を取り巻く環境の大きな変化とともに、労働組合が従業員にとって重要な役割を担うのであれば、労働組合の復権、そして労働組合の出世コース返り咲きが実現すると考えられます!

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