銀行の人事異動の決め方|現役銀行員が語る地銀の人事異動

銀行員を極めたい

銀行では人事が命

人事異動は、銀行員にとってキャリアや働きがいを決定づける重要イベント

そして何よりも・・・
人事異動発表日のあのワクワク感!

しかし、人事異動の仕組みや決定プロセスについては、あまり知られてないように感じます。

この記事では、地方銀行における人事異動の基本と決め方、さらには異動を受け入れられないときの対処法まで、現役銀行員の視点から詳しく解説します。

この記事を読むことで、

  • 銀行の人事異動のルール
  • 人事異動の決め方
  • 人事異動へのたて突き方

などが分かるようになります。

今後の銀行員人生をより有意義なものにするため、地銀の人事異動の全体像を理解しましょう!

地銀の人事異動の基本

基本的な情報

銀行の人事異動には、いくつかの決まり事があります。

何事も基本が大事。まずは銀行の人事異動の基本を解説します。

人事異動のタイミング

人事異動が行われるタイミングは、どの銀行にも共通するタイミングと銀行によって異なるタイミングがあります。

銀行共通のタイミングは

  • 新年度が始まる4月
  • 6月の株主総会直後

の2つです。

4月は新入行員の配属と同時に行われる人事異動。6月は株主総会の承認を得た新役員体制とともに管理職中心の人事異動が行われます。

その他の人事異動のタイミングは銀行によって異なります。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 8月の大きな人事異動。通称、夏の人事異動。
  • 10月の下期スタートにあわせた人事異動。
  • 1月に新年にあわせた人事異動。このタイミングは少ない。
  • 2月や9月に人事異動する銀行もある。
おやつイモ
おやつイモ

行員数が多い銀行ほど、年間の人事異動の発令が多い傾向にあります。

人事異動のきっかけ

上記で紹介したタイミングで行われる人事異動ですが、それぞれの人事異動の発令にはきっかけがあります。

人事異動のきっかけとなる出来事は以下のとおりです。

  • 定例の異動
    4月10月の期が変わるタイミング等に定例的に行われる人事異動
  • 株主総会
    株主総会で新たな役員体制が承認された後に行われる人事異動
  • 新部署の設立・組織改編
    基本、株主総会の承認事項となる新部署・新組織体制に伴う人事異動
  • 不祥事件
    横領などに限らず支店内の不倫やハラスメント事案に対処するための人事異動
おやつイモ
おやつイモ

普段ないときに少人数の異動が発令された場合、「ハラスメントや不倫への対処か!?」とざわついたりします。

銀行員は何年で異動するのか?

ここまで、人事異動のタイミングときっかけといった銀行サイドの都合を解説しました。

一方、従業員である銀行員たちが、最も興味あるのは自分が異動するタイミング

これは支店と本部によって少しルールが違います。

支店の場合、2~3年くらい同じ支店で勤務し続けていれば人事異動の対象になります。一方で、本部は支店よりも長いスパンで勤務したのち異動になります。最低3年、長くて10年の人もいます。

銀行には、同じ店で働く勤務年数上限が定められており、その上限を超える場合は人事部向けに稟議が必要になります。

逆をいえば、稟議さえ通れば何年でも同じ部署に勤務させられることもあるということです。

人事異動の決め方

それでは、本題である人事異動の決め方について解説します!

人事異動決定の流れ

ざっくりした全体の流れは以下のとおりです。

  • 各支店・部署から人事部門に人事要望が集まる。
  • 人事要望をはじめ諸々の要素を考慮し、人事部門が人事異動案を策定。
  • 人事異動案を役員が承認。
  • 無事、承認が取れたら、いざ発令へ!

人事異動案を策定するのは人事部門ですが、事前にエリア長(ブロック長)や本部の部門長が人事部門に人事要望を提出します。人事要望の内容は以下のとおりです。

  • 欲しい人材像(年齢・職位・スキル)
  • 特定の行員を名指しすることもある
  • 強化する部門への人員増強
  • 部門間の人材交流

都銀では、人事部門より支店長・部長の権限が強いそうですが、地銀は逆です。

人事部門の決定が絶対です。
なぜなら、人事部門が決めた人事異動内容は、役員がお墨付きを与えているからです。

人事部門が策定した人事異動案は、人事担当役員をはじめボードメンバーに審議されたのち、最終的に代表権を持つ頭取(社長)が決裁するという流れで、組織決定されます。

なお、役員たちは末端の行員までは知りません。したがって、一般行員の人事異動に物申すことはなく、口を出すのは管理職以上の人事に対してのみです。

人事異動を決める要素

人事異動を決める要素は非常に多く、それぞれの要素が複雑に絡み合っています。

人事異動を決める要素には以下のようなものがあります。

  • エリア長などからの人事要望
  • 銀行が強化する部門への人材配賦
  • 外部出向
  • 不調な支店の人材入れ替え
  • 勤務歴が長い行員の異動
  • 昇格・降格
  • 懲罰人事

これらの要素のうち、その人事異動のタイミングで優先すべき要素を満たすように、異動内容を組み立てていきます。

人事異動はところてん

銀行の人事異動は、ところてんのようだと言われます。(銀行だけじゃないかもしれません…)

A支店の支店長がB支店に異動。当然、B支店の支店長は別の支店に異動。また、A支店の支店長ポストも空くので、どこかの支店や本部から新たな支店長が着任します。

人事異動は、いち銀行員にとっては自分だけのものに感じるかもしれません。

しかし、人事異動を俯瞰して見ると、誰かが抜けた穴を他の誰かが補うという動きの連鎖であり、人と人が繋がりあうネットワークを形成していることが分かります。

人事異動を拒否できるのか?

人事異動を俯瞰して見ると、誰かが抜けた穴を他の誰かが補うという動きの連鎖

この事を考えると、一旦発令された人事異動を拒否することは組織人としてはNG行為。

また、拒否したところで受理される可能性はゼロ。さらには人事異動を拒否したという事実が人事部門内で共有され、確実にマイナス評価に繋がります。

私の周りには人事異動を拒否した人がいないので、どんな仕打ちを受けるかは不明です。しかし、それほどまでタブー視されているのが人事異動拒否ということです。

人事異動が受け入れがたいとき

拒否したところで受理される可能性はゼロ。

人事異動をどうしても受け入れられなくても拒否できない。

そうなると、残される手段は以下の2つのみ。

  1. 至急で異動希望する
  2. 銀行を辞める

私が勤める銀行では、人事異動が気に入らずに辞めた人は多くいます。

身近には、2度連続で不本意な人事異動が続いたことで退職を決意した同期がいます。お子さんが小さいのに単身赴任の遠方の支店に異動。そこで我慢した挙句、次の異動では関連会社に出向。止める人事部を完全無視して個人事業主になりました。

まとめ

まとめ

銀行の人事異動は、

  • 定例の異動
  • 株主総会
  • 新部署の設立・組織改編
  • 不祥事件

といったきっかけで、ほぼ銀行都合で決められます。

そして、一旦決まった人事異動に抗うには、我慢or退職の二択

神のみぞ知る人事異動。

多くを望まなければ、色々な経験ができてそれなりに楽しい銀行員生活。

人事異動のあのワクワク感を楽しみましょう!

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