2024年7月の新デザインの紙幣発行から1年半以上経過しましたが、預金封鎖含め大きな混乱は発生していません。
2026年になった今、改めて断言します。日本で預金封鎖が起きる可能性は、現時点で「限りなくゼロ」です。
かつての預金封鎖の噂がなぜ外れたのか、そしてなぜ今後も起きにくいのか。19年のキャリアを持つ現役銀行員の視点から2026年の最新情勢を踏まえて解説します。
預金封鎖について
まず基本知識として「預金封鎖とは何か?」確認しましょう。
預金封鎖とは?
預金封鎖とは、銀行に預けている預金を自由に使えなくなることです。
預金封鎖には大きく2つ種類あります。
- 特定の銀行だけ封鎖するケース
- 政府の命令で全ての銀行が封鎖されるケース
前者の「銀行単独の預金封鎖」は、預金の取り付け騒ぎを抑えるために実施するものです。
「預金の取り付け騒ぎ」とは、預金者が預金・貯金・掛け金等を取り戻そうとして、金融機関の店頭に殺到し混乱をきたす現象のこと。
Wikipedia「取り付け騒ぎ」

一斉に預金を引き出されると銀行は経営破綻する恐れがあるため、預金の引き出しを制限するということです。
2024年に噂された預金閉鎖は、後者の政府命令の預金封鎖でした。
過去の預金封鎖の実例とは?
「預金が自由に使えなくなる」とは信じがたいですが、過去、様々な国で預金封鎖が行われました。
- 1933年 アメリカ合衆国
- 1946年 日本
- 1990年 ブラジル
- 2001年 アルゼンチン
- 2002年 ウルグアイ
- 2013年 キプロス
注目すべきは、国際的に見れば近年でも預金封鎖があった点、そして日本でも過去に預金封鎖があった点です。

1946年は第二次世界大戦直後の日本経済がボロボロだった時代です。
なぜ預金封鎖が2024年に噂されたのか?
政府の命令で預金を使えなくなる預金封鎖が、2024年にネット界隈で急激に話題になりました。
成長は鈍化しているものの経済状況は安定した日本で、なぜ預金封鎖が噂されたのか?
- 預金封鎖は何のために実施されるのか?
- 2024年に預金封鎖が噂されたのか?
を確認しましょう。
預金封鎖の目的とは?
預金封鎖の目的は以下2点。詳しく解説します。
- ハイパーインフレを抑制するため
- 国の収入を増やすため
ハイパーインフレ抑制
ハイパーインフレーションとは、全ての商品の価格が上昇し、現地通貨の実質的な価値が急速に失われていくこと
Wikipedia「ハイパーインフレーション」
一般にインフレは、モノの価値が上がることと説明されます。しかし、経済学では逆説的に「モノに対して通貨の価値が下がっていること」と捉えます。

この捉え方を元に預金封鎖は以下のとおり説明されます。
- インフレとは通貨の価値が下がること
- つまりインフレ抑制とは通貨の価値を上げること
- 通貨の価値を上げるには、流通する通貨を減らす必要がある
- 流通する通貨を減らす手段の一つが預金を使えなくする預金封鎖

「預金封鎖により円を減らすことで円は希少なものと捉えられ価値が上がる」ということです。
国の収入が増える
預金封鎖を行えば直接的に国の収入が増える訳ではなく、過去事例では「預金封鎖と同時に政府が預金の一部を徴収」しており、国が収入を得る可能性があるということです。
- キプロスで経済危機が発生。
- 国内の預金者に、国の損失を負担させる政策を立案。
- 政府主導の預金封鎖を実施。
- 10万ユーロ(当時、約1,300万円)を超える預金を没収。
以上のように、預金封鎖後に政府が預金の一部徴収することで収入を得ます。

国が預金の一部を奪うために、預金を引き出せなくするってことですね!
2024年に預金封鎖が噂された理由
2024年初頭から日本で預金封鎖が噂された理由は1946年に日本で預金封鎖された状況と似ているからです。
似ている状況とは以下の2点です。
- インフレ
- 新札を発行するタイミング

ここで重要なのは、1946年に似ているだけで同じではないこと。詳しくは続きをご覧ください。
預金封鎖の可能性「2026年」の最新動向
それでは、新札発行から1年半以上経った日本で預金封鎖の懸念はいかほどあるか?
現役の金融マンの視点でこたえると、預金封鎖の可能性は極めて低いと考えています。理由は大きく4つです。
理由①動機がない

預金封鎖の可能性が低い最大の理由が、預金封鎖を行う動機がないことです。

でも、今ってインフレ状態なので、預金封鎖でインフレ抑制すべきでは?
現在は、インフレ状態ではなく、デフレ(モノの価格が低すぎる状態)から抜けようとしている状態です。1946年の第二次世界大戦後の経済混乱期とは大きく異なります。
そして、最新の2026年の状況は…
2025年から2026年にかけて日本銀行は「マイナス金利の解除」「長期金利の引き上げ」を行い、金利のある世界へと舵を切りました。政府・日銀がこれらの金融政策でインフレ抑制を行っており、預金封鎖という暴挙に出る動機は極めて低いと言えます。
理由②法的根拠がない

1946年に日本で預金封鎖が行われた際は、金融緊急措置令(昭和21年2月17日公布即日施行)に基づき、預金封鎖が実施されました。
この金融緊急措置令は、昭和38年7月22日に廃止されています。
したがって現状、日本で預金封鎖を行おうとしても法律上、不可能です。
もちろん、今から関連法案を整備することはできますが、その場合には次の理由③で、預金封鎖は困難だと考えられます。
理由③効果がない

これから預金封鎖を行う場合、預金封鎖を可能とする法律が必要。
インターネットはおろかテレビも無かった1946年であれば、密かに法律を制定して預金封鎖できたでしょう。
しかし2026年現在、情報は1946年とは比べものにならない速さで拡散されます。
もし政府内で預金封鎖を検討していることが1ミリでも漏れれば、SNSであっという間に拡散。法案成立前に全国民がATMに殺到し、国全体の経済が一気に混乱するため、国家運営として現実的ではありません。
つまり、預金封鎖の効果が発揮される前に日本経済がストップしてしまいます。
理由④できない

銀行の立場からすると、預金封鎖は事務的に難しいです。
1946年当時は、銀行窓口での出金を止めるだけで済んでいた預金封鎖。
現在では、お金を引き出すにはATM・インターネットバンキングなどがあり、また自動で預金口座から引き落される自動振替やデビッドカード取引など、預金が使われる方法が数多くあります。
これら、一つひとつの取引を停止するのは困難ですし、口座振替の中には税金収納などもあることから、政府が預金封鎖を行う意義に欠けると考えられます。

ATMが登場したのが1977年。
IBは1990年代。
口座振替は1961年。
今後の注意点と対策

2026年以降も預金封鎖の可能性は極めて低いです。
しかし高市政権の積極財政やグローバルな地政学リスクの上昇など経済・金融動向への注視はかかせません。
今後、預金封鎖あるいは大きな経済状況の変化が発生した場合、預金以外にも様々な方法で資産を保有することが肝要です。
具体的な様々な資産の持ち方は以下のとおりです。
- お金をおろして、現金で持っておく
- 外国の銀行に送金する
- 投信・不動産・金などの資産
まとめ

2026年以降も日本で預金封鎖が行われる可能性は極めて低いです。なぜなら
- 預金封鎖を可能とする法律は廃止されている
- 預金封鎖しようとしても、意味・効果がない
- お金をおろす手段が多すぎて事務上、困難
- 預金封鎖が必要なほどインフレではない・日本財政は緊迫してない
といった理由が挙げられます。
とはいえ、万が一にも預金封鎖が行われないか金融・経済動向には注意しつつ、ご自身の財産を守るよう心掛けましょう!!


