この記事は、銀行の預金の基本【完全版】です。
銀行の預金にはとても多くの種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。

よく知られている普通預金や定期預金以外にも、通知預金や納税準備預金など色んな預金があります。
この記事では、
を解説します。
是非ご覧ください!
【基本】預金種目と預金種別と預金種類

預金種目、預金種別、預金科目、預金種類。
微妙に異なるこれらは、全て預金の種類を意味します。
10数年の銀行員生活の中で、身についた使い分けは以下のとおりです。
- 預金種目:振込みなどの為替取引で使われる言葉。(例:全銀フォーマット)
- 預金種別:口座振替依頼書などで見かける、あまり使われない言葉。
- 預金科目:話し言葉として最も使われる呼び名。
- 預金種類:正直あまり使わない。
言葉の意味を理解したところで、次は具体的な預金種類を紹介します。
【完全版】預金のラインナップ

預金は大きく、流動性預金・定期性預金・特殊な預金の3つに分けられます。
- 流動性預金
満期なし。お金の出し入れ自由。 - 定期性預金
満期あり。金利が高め。 - 特殊な預金
上記2つとは全く異なる特徴を持つ預金。
より詳細な預金種類とそれぞれの基本機能は、以下の早見表をご覧ください。

※2023年1月追記:別段預金が無利息の銀行あり。
(銀行ごとに機能が異なる場合があります。詳しくは取引銀行に確認しましょう。)
流動性預金
流動性預金の中で、最もメジャーなのは普通預金です。
したがって、まずは普通預金の機能を紹介した後に、普通預金以外の預金について
- 普通預金にはない独自メリット
- 普通預金と比べたデメリット
に絞って紹介します。
記載がない機能、普通預金と同じとご認識ください。
普通預金
自由にお金を入れたり出したりできる最もポピュラーな預金。
お給料を受け取ったり、逆に公共料金などを自動でお支払いことができます。
普通預金には、一般口と決済用の2種類があります。両者の違いは以下のとおり。
- 利息:一般口には利息がつきますが、決済用は利息がつきません。
- 預金保険制度の補償金額:一般の普通預金は1,000万円+利息まで。決済用普通預金は全額。

預金保険制度とは、銀行破綻時に預金を守ってくれる制度。
一般口と決済口では、守られる金額が違うということ。

当座預金
当座預金は、会社や事業を営む人が使う預金。
普通預金との違いは以下のとおりです。
【メリット】
- 小切手や約束手形を使った取引が可能。
- 預金保険制度の上限なく全額が補償対象になる。
【デメリット】
- 事業を営んでないと作成できない。
- 作成時に審査があり、必ず作れるわけではない。
- 決済用普通預金と同じで利息がつなかい。

当座預金は会社員など個人には関係のない預金です。
貯蓄預金
貯蓄預金は、一定以上の金額を貯めるための預金。
普通預金との違いは以下のとおりです。
【メリット】
- 一定以上の残高がある場合、普通預金より金利が高い。
【デメリット】
- 給料の受け取りや口座引き落しなど決済取引は不可。

かなり珍しい預金です。私は新規で受け付けたことがありません!
納税準備預金
税金の支払い専用預金が納税準備預金です。
納税金額が大きい人や納税する機会が多い人などが使います。
【メリット】
- 税金の支払い専用の預金。預金利息につく税金がない。
【デメリット】
- 税金の支払い以外の目的でお金をおろせない。
- 納税以外の目的で、お金をおろしたときは預金利息への税金が追徴される。
- ATM取引は不可(納税目的の出金かどうかのチェックができないため)。
- 納税以外の口座引き落しはできません。
通知預金
通知預金は、出金するとき銀行への事前通知が必要な預金。
制約がある分、普通預金よりも金利の面で有利です。
【メリット】
- 普通預金よりも、高い金利がつく。
【デメリット】
- 7日間は出金不可。
- 出金する2日前までに銀行への通知(申し出)が必要。
- 1万円以上など、決められた金額を預けておく必要あり。
定期性預金
定期性預金は、満期が設定されており、それゆえ普通預金より金利が高い預金。
ちなみに満期前でも解約できます。ただし金利は普通預金なみ下がります。
そんな定期性預金には、様々な種類があります。詳しくチェックしましょう。
定期預金
一定の期間は解約できない代わりに、普通預金よりも高い金利でお金を預けることができる預金。
決められた期限より前に出金すると普通預金と同じ水準まで金利が下がります。
定期預金は、非常に種類が多く
- 満期までの年数
- 金額水準(大口定期など)
- 特定の人専用の商品
など、様々あります。
また、1万円ずつなど定期的に分割して預けるタイプの積立定期預金もあります。

普通預金と定期預金が1つになった総合口座もあります。総合口座の自動貸越サービスはとても便利です!

定期積金
積立定期預金と同じで、毎月お金を積み立てていく預金。
その特徴は以下のとおりです。
- 毎月、必ず同じ金額を積み立る定期預金。
- 満期日に受け取るのは利息でなく給付補填備金。
- 給付補填備金は雑所得となり、源泉分離課税の対象になる。(国税庁HP)

ほかの預金で受取れる利息は「利子所得」です。
財形預金
財形預金も毎月お金を積み立てていく預金。
財形預金独自の特徴は以下のとおり。
- 勤務先が銀行と財形預金の契約をしてないと使えない。
- 会社役員・自営業者などは利用不可。
- 給与から天引きされ、積立てられる。
- 利息に加えて別途、勤務先から奨励金が支給されることがある。
- 一般財形預金・財形年金預金・財形住宅預金の3種類ある。
- 財形年金預金と財形住宅預金は550万円までの利息が非課税。
譲渡性預金
その名のとおり、満期より前に第三者に譲渡できる預金。
- 預ける最低金額が1,000万円以上や5,000万円以上といった制約あり。
- 預金保険制度の対象外。
- 譲渡といっても短期金融市場での売買による譲渡であり、売買価格は市場価格に依存するため元本割れする可能性がある。
特殊預金
流動性預金と定期性預金にない特徴を持つ特殊な預金があります。
外貨預金
米ドルやユーロなど円以外の通貨で預け入れる預金。銀行によって取り扱える通貨は異なりますが、どの銀行も米ドル預金がメイン商品。
外貨預金にも、いつでも入出金できる外貨普通預金と、満期が設定された外貨定期預金があります。
外貨預金の最大の特徴は、為替変動による元本割れリスクがあることです。
例えば、1ドル100円のときに100円をドル預金すると、預金残高は1ドルに。
その後、1ドルの預金を解約するとき

外貨預金は金利が高い商品ですが、為替相場により解約時に当初金額より低くなることがあるので要注意!
別段預金
別段預金は、これまで見てきた流動性預金・定期性預金と全く異なり、一時的に預かったお金を格納しておく預金です。
一般個人が開設するケースはほとんどなく、企業など組織が開設する預金です。
初めての人はどの預金を作るべきか?

ここからは、初めて預金をつくる人向けに現役銀行員オススメの初めて作るべき預金を紹介します。
結論は以下のとおり。
- 普段使い用の普通預金
- お金を貯めるための定期預金
2つの預金を作りましょう!
初めての預金をつくる人
人生で初めての通帳を作るという
- バイトを始める人
- 大学に進学する人
- 新たに社会人になる人
皆さんに読んでいただきたい内容になっています。
普段使いの預金口座をつくろう!
まずは
- お金をおろしたり
- 給料や生活費を受け取る
- 電気代など口座引き落とし
など、普段の生活でバリバリ使う普通預金をつくりましょう。

普通預金は、1つあればOK。給料受取り用や各種支払い用などに分けると管理が大変になります。
とはいえ

お金があると、つい使ってしまうわ。
と心配な人もいますよね。
そんな人は、お金を貯めることを目的とした定期性預金を作りましょう。
詳しくは次の章で!
お金をためる預金をつくろう!
新たに社会人になる皆さんには、お給料から少しずつお金を積立てることをオススメします。
理由は、将来の資産形成のため。資産形成の必要性の解説は他サイトにお任せして、この記事では「資産を貯めるため、適切な預金は何か」を紹介します。
まず大前提として、お金の積み立てを普通預金で行うことは困難です。
理由は、
したがって、普通預金以外の預金で積立てることをオススメします。
具体的には、以下の3つの方法があります。(★はオススメ度)
- 財形預金【★★★★★】
勤務先に財形預金があるなら、必ず利用しましょう。
<例:1万円の財形預金のケース>
15万円の給料の場合、普通預金に14万円入金。財形預金に自動で1万円入金。
普通預金に入金された14万円を全部つかいきったとしても、きちんと1万円が貯まります。奨励金があるのも嬉しいですね! - 積立定期預金【★★★☆☆】
勤め先に財形預金がない人は積立定期預金。財形預金と同じで、自動で一定の金額を積立てます。財形預金との違いは- 奨励金がないこと。
- 給料天引きではなく、普通預金からの引落しになること。
- 定期預金【★☆☆☆☆】
自動の積立てがイヤな人は定期預金を作りましょう。
定期預金のメリットは、好きな金額を自由に預金できること。ただし都度手続きが必要だったり、「定期預金するぞ!」という断固たる決意が必要な点がデメリットです。
まとめ

預金の全11種類について、説明してきました。
様々な種類の預金がありますが基本的には、
- 普段使い用の普通預金
- 資産形成用の積み立てるタイプの定期性預金
の2つの預金があればOKです。
春先には、多くの銀行が「預金口座の開設キャンペーン」を行います。
このタイミングで、新たな門出と同時に、お近くの銀行との預金取引を開始しましょう。