※この記事は、様々な銀行と接点をもつ現役銀行員が、約50行・100人以上の銀行員の情報をもとに、銀行の役職を網羅的に紹介しています!
ネットで公開されている『銀行の調査役』に関する記事。
その多くが間違ってます!
調査役は、「レポートライン上にない管理職の肩書き」として用いられるのが一般的。
調査役を管理職とする銀行は少ないです。
(監査部門で調査役を管理職とするケースあり)
ある銀行では調査役というと部長クラスなのにある銀行では係長手前のクラスなんてことがあります。
調査役が部長クラスはあり得ません。
結論から言うと、
調査役は、管理職一歩手前の役職としている銀行が多いです。
この記事では、調査役以外の銀行独特の役職を一挙に紹介します!
銀行の組織体制
役職を紹介する前に、知っておきたいのが「銀行の組織体制」。今回は本題ではないので、簡単に紹介します。
①銀行は、営業店(支店)と本部で構成されています。
役職は、「営業店」と「本部」で全く違います。詳しくは後ほど!
②まず、営業店は「一般的な銀行店舗」と、ローンなど特定の商品のみを扱う「専門店舗」に分けられます。
③本部については、かなり多くの部署に分かれています。大きく分けると、以下のようなラインナップです。
企画部門 | 経営企画、広報、ブランドCSR、主計など | 銀行の中枢を担うエリート軍団。銀行経営の方向性のかじ取り役。役員指示・金融当局の示達等を瞬時に処理。スマート&華麗に仕事する人が多い。 |
営業部門 | 営業企画、本部営業、コールセンターなど | 営業に関する本部機能の全てを担う。営業企画、チャネル戦略、営業目標、対顧客の専門コンサル等々を抱える大所帯。戦闘力が高い人ばかり。 |
人事部門 | 人事、福利厚生、健康管理 | 採用、人材育成・評価、人員計画等を担うエリートコースの一つ。人事異動前は悲壮感漂う。穏やかだけど、目の奥が笑ってない人が多い。 |
審査部門 | 審査、途上与信管理、債権管理 | 主に法人融資の審査を担う専門部署。新規融資、業績悪化企業の管理、延滞管理など色々ある。いち営業マンからすると、とにかく恐ろしい人たち。 |
事務部門 | 事務管理、事務集中、バック事務 | 主に預金と為替の事務企画・運用・集中事務作業を行う。「正確な事務は銀行の品質」を支える縁の下の力持ち。頼りになるベテランが多い。 |
IT部門 | IT企画・運用、DX推進 | 重厚長大な銀行システムの運用を担う。近頃は銀行もDXの希求強く、注目されがち(だが、うまく行かないこと多い)。銀行内ではIT専門家。 |
市場部門 | 資金運用 | 資金運用で稼ぐ証券会社的な存在。けっこうな稼ぎ頭。特殊部隊なので在籍が長い人が多い。個人的に、何に投資すべきか聞いても教えてくれない。 |
監査部門 | 監査 | 銀行全体の監査を担う役員直轄の組織。監査部の監査が入ったら、日常の仕事できず絶望。物事の細部まで目を光らせる老獪なベテランが多い。 |
他にも「総務」や「秘書」「リスク管理」等もありますが
これらは銀行によって様々です。
銀行の役職を網羅的に大紹介!
まずは、役職名のネーミング上の法則があるので紹介します。
それでは、具体的な役職を紹介していきます。
なお、レベルごとの参考年齢は広めです。
年齢は、銀行によって大きく異なるので、参考までにご覧ください。
年収も銀行ごとに異なります。
多い順に、都銀・第一地銀・第二地銀等といったイメージ。
レベル1:新卒入社直後
【営業店・本部】行員、一般行員
新卒の銀行員は、まず「行員」や「一般行員」から始まります。
一般企業でいうヒラ社員。
新入行員は、基本的に営業店からキャリアをスタート。バック事務・窓口・融資・渉外の順にジョブローテーションを行い、一通りの業務を行いながらひたすら鍛錬します。
都銀や大手地銀には専門職採用制度があり、いきなり本部のケースも。
なお、「行員」や「一般行員」は肩書きではないので、名刺には記載されません。
レベル2:20歳後半〜30歳前半
【営業店】係長、主任、サブマネージャー
【本部】 係長、主任、副調査役、ビジネスアシスタントリーダー
早くて20代後半で、初の役職に就きます。
早速、営業店と本部で名称の違いが出てきます。
一般行員が、言われたことを理解・実践・習得する「学びのステージ」だとすると、レベル2は自らが率先してチームを引っ張る「行動のステージ」になります。
また、もう一つの期待が一般行員のサポート。
係長や主任たちは、一般行員の『いい兄貴・姉貴的な存在』として、業務面・メンタル面でサポートする役割も担います。
多少仕事ができなくても、この役職には普通になれます。
30超えてもヒラの人はヤバい人。
ヤバい銀行員の事例は、下の記事をチェック!
レベル3:30歳半ば~40歳前後
【営業店】課長、支店長代理、マネージャー
【本部】 調査役、主査、ビジネスリーダー
管理職手前のポジションで、どの銀行でも最も多い役職です。
営業店であれば、
- 重要な取引先を担当する
- 営業目標の責任者になる
- 部下の人事評価を行う
など
非常にやりがいとストレスあるプレイングマネージャー的な役職です。
特に優秀じゃなくても、ごく普通に銀行の仕事をしていれば、この役職にはなれます。
次のレベル4から、少しハードルが上がります。
この役職になると、グッと給与が増えます!
レベル4:30歳後半~40歳代
【営業店】次長 → 副支店長
【本部】課長、室長代理 → 主任調査役、上席調査役、グループ長 → 次長、室長、管理役・参事役etc → 部長代理、副部長
ここから、役職の種類が格段に増え、銀行によって違いも出てきます。
営業店では、支店長の補佐役となる次長や副支店長があります。
そして、多様かつ多段階で役職が乱立するのが本部。
こんなに複雑になった理由は、
- 40後半~50代の大量採用時代の銀行員たちにポストが必要だった
- しかし、全員同じポストだと不平が出るので、ポストに序列が必要だった
ということが考えられます。
銀行の「〇〇役」というのは、元々は日本銀行が採用していたもの。「調査」とは、「日本銀行が民間銀行の調査をしていたこと」に由来しています。
レベル5:40歳後半~50歳前半
【営業店】支店長
【本部】 部長
ついに、やってきました!
晴れて、一国一城の主「支店長」「部長」です。
支店長は、自身の営業店内での専決権限を与えられ、支店内で絶対的存在として君臨。それと同時に、店舗が立地する地域の名士として扱われます。
ただし、支店長でも店舗規模によって序列があります。小さな営業店の支店長は、近隣の大規模店舗の支店長の指示のもと働くこともあります。
銀行はどこまでも階級社会!
一方、本部の部長は「次は役員」というくらい高い役職。しかし、同じ銀行の部門間のせめぎ合いや役員からの指示など日々、めちゃくちゃ大変そうです。
もちろん
部長の中にも若干の序列があります。
序列の要因は2つ。
- 所管する部署そのものの強さ
企画・人事・営業部門の部長は激強! - 執行役員部長であるか否か
詳しくは、次のレベル6で紹介。
部長をはじめ本部の管理職は『営業店の支店長になりたいわ~』とポロッと口走ります…
レベル6:50歳~
【執行役員層】執行役員 → 常務執行役員 → 専務執行役員
【経営層】取締役・監査役 → 常務取締役 → 専務取締役 → 副頭取 → 頭取
支店長や部長の中から、ほんの一握りが役員に昇りつめます。
昨今の銀行では、執行役員制度を導入していることがほとんど。役員クラスでも人材不足・スリム化が求められています。
そして、執行役員を経て、いよいよ経営層へ。
この段階にくると『経営トップを社長ではなく頭取と呼ぶこと』以外は、一般企業とほぼ同じです。
「銀行の役職」の最新トレンド
ここでは、銀行の役職を取り巻く昨今のトレンドをピックアップして紹介します!
まとめ
皆さんが知りたい役職はあったでしょうか?
もし、無いようでしたら、お気軽にお問合せください。まだ知らない役職を調査いたします!
このブログでは、引き続き『銀行をもっと身近に、もっと活用』をコンセプトに、皆さんに有益な情報を発信していきます!