ChatGPTとは、オープンAI社が無料公開している「AIと会話するようにチャットができるサービス」。
今やChatGPTを使った実証実験・実務展開の例は枚挙にいとまがありません。
ということで、この記事では
- ChatGPTの機能と注意点を確認し
- 銀行での活用シーンを紹介する
といった内容でお送りします!
ChatGPTの機能
ChatGPTは、ブラウザから利用するAIチャットです。
機能を一言でいうとテキストで入力した質問に対して、人間が答えるように自然な回答を返してくれるというもの。
さらには、様々なプラグインを組み合わせることで、画像や動画など文字以外のアウトプットも返してくれます。
ChatGPTが他のチャットサービスと違う点は以下のとおりです。
- 文章がとても自然。
「て・に・を・は」の使い方など、従来のAIチャットと比べると段違いに文章が上手。 - 質問後、即時に回答。
2023年3月発表以降、急激に回答速度が上昇。回答まで10数秒。 - 会話形式のやり取り。
前の会話内容を踏まえて、新たな質問に答えてくれる。 - 回答できる範囲が幅広い。
単なる知識だけでなく、小説などの書き物、エクセル関数やプログラム等も回答。 - 倫理観がある。
差別や悪口など、個人を否定する回答はしない。
5.の倫理観にはビックリ!
人を傷つけない機能は素晴らしいですね。
chatGPT使用時の注意点
素晴らしい機能をもつChatGPTですが、利用する際には少し注意が必要です。
必ずしも正しい回答ではない
ChatGPTを使うとき、ChatGPTの回答が必ずしも正しいわけではないことには注意しましょう。ChatGPTは文章がとても自然なので、回答をそのまま鵜呑みにしそうになります。しかし、特に専門的な知識については、基本的な内容でも間違っていることが多々あります。ChatGPTの回答内容は十分に精査しましょう!
完全に新しい知識・知恵は無い
また、ChatGPTの回答から完全に新しい知識を得ることはできません。
ChatGPTは、全世界のwebサイトから超大量の情報を取り込み、事前学習したうえで、質問に回答します。逆にいえば、web上に無い情報は事前に学習することができません。
ChatGPTは、事前学習した情報を集約し、簡潔に文章化することには長けていますが、誰も気づいてない知識や概念などを生み出すものではありません。
完全なる未知の知恵が必要なシーンなんて、あまり無い・・・
問題は、次の注意点です!
質問の仕方にコツが必要
同じニュアンスの質問でも、聞き方によってChatGPTの回答、その正否が違ってきます。
つまり、質問の仕方にはコツがあります。
例えば「信用保証協会の略称」について聞いたケースを紹介します。
はじめに「信用保証協会の略称は?」と質問しました。すると…
回答は「略称はシングルです」。
この回答は×ですね…
次に「銀行では信用保証協会を何と略す?」と質問しました。
回答は「シン保と呼ぶことが一般的」。
カタカナなのが謎ですが、正解ですね。
このように聞き方で、回答の正否が変わります。
情報を扱う上でのリスク
ChatGPTは、インターネット上の様々な情報をもとに事前学習した上で、私たちの質問に対して回答というかたちで情報をくれます。
いわば情報のハブとなる存在ですね!
情報を扱うにあたり発生するリスクには十分に注意する必要があります。例えば…
- 情報漏洩リスク
- 知財・著作権侵害リスク
など。詳しくは下の記事で解説しているので、ご覧ください。
銀行でのChatGPT活用シーン
ChatGPTを銀行で活用するなら、どのような場面があるでしょうか?いくつか考えてみましょう。
取引先のニーズ推定
まず思いつくのが『取引先にどのような金融ニーズがあるのか』を推定すること。
個人も法人も、ライフステージやライフイベント・収支状況・事業状況(個人だと勤労状況)などによって、必要な金融サービスは変わってきます。
また、昨今の銀行では金融サービス以外にも、法人向けに様々な事業支援サービスを拡充しています。
自分の担当先に、どのサービスを紹介すべきかのヒントをChatGPTが教えてくれたら、ありがたいですよね!
試しに「売上が減少している畜産卸売業者への適切なサービス」をChatGPTに聞いてみました。
ChatGPTの回答は「資金繰り支援」と「事業再生」というベタなものでした。真新しい解決策は事前学習できてない、あるいは質問の仕方が悪かったのかもしれません。
ニーズの推定なので、間違っても大きな問題にはなりません!
企画業務のサポート
これは、本部での活用シーンとなりますが『商品開発や広告・プロモーションなど企画業務のサポート』でChatGPTが使えそうです。
銀行のエリート企画マンは「ChatGPTは不要!自分たちで十分(怒)」と言うでしょう。しかし、この反応こそが、ChatGPTがホワイトカラーを失職に追いこむと言われる所以。
どういうことかと言うと
ということ。
エリートの皆さんは、自分を過信しすぎず、ChatGPTを使って仕事の効率化や高度化にもチャレンジすると良い、と思われます。
問合せ対応
次は王道の活用方法。『顧客からの問合せに対し、ChatGPTに回答させる』です。
この活用の方向性は、2つあります。
web上の問合せフォーム
銀行のホームページ等にある問合せフォーム。そこに入力された質問に対して、ChatGPTが即時回答するという方向性。
この問合せ即時回答サービスを既に展開している銀行はあります。しかし、そのほとんどが裏で銀行員や外注先の人が回答を入力しています。
ChatGPT導入により、回答入力者の人件費を削減できるならば、ChatGPT導入は前向きに検討すべきですね。
絶対に、顧客に間違った回答をしてはいけません。
したがって、ChatGPTが正確性に欠ける点が課題になりそうです。
インバウンドコールセンターのサポート
どの銀行にもある電話受付窓口のコールセンター。
コールセンターの役割は、お客様からの様々な問合せへの対応。多種多様な質問に答えるには、多くの知識と対話術、そして電話対応の経験が必要。つまり、電話対応する人(オペレータ)のレベルによって、顧客対応の品質がバラバラになる課題があります。
そこで、ChatGPTの登場!
業務フローとしては、
- 顧客の問合せ内容を「音声データ」から「テキストデータ」に変換。
- 「問合せテキストデータ」をChatGPTに連携。
- ChatGPTが即時に回答をオペレータに提示。
- 回答の妥当性をチェックし、顧客に返答。
といった流れで、電話対応レベルの底上げ・効率化に繋げられそうです。
途中で、顧客との電話を一旦きる等、対応シナリオも策定すべし!
従業員のメンタルヘルス対策
ChatGPTという機械が相手なら、何でも話せるのではないか?
という仮説のもと考えられるのが、他人には相談しにくいメンタルヘルス相談をChatGPTが受付ける、という活用方法。ここで活きるのが、ChatGPTの倫理観。相手を傷つけない、されど現状を打破する回答が得られれば、病む人の心を癒し、休職・離職を低減することは間違いないでしょう。
また、この活用方法の副次的効果として、従業員の悩みデータの蓄積が挙げられます。
これまで、
- 本気でメンタル病んでいる人は突然休職
- あるいは、メンタルケアの所管部に電話(文字を打つ元気なんて無い)
- やや悩んでる人は恥ずかしくて誰にも相談できない
ということで、メンタルヘルスに関するデータは蓄積しにくい面がありました。
しかし、ChatGPTにより「悩みを他者に相談するハードル」が一気に下がることで、相談を受ける側がより情報が得やすい環境になります。
得た情報を有効活用することで、メンタルヘルスケア対策をさらに高度化できると考えられます。
まとめ
ChatGPTの機能と注意点を加味しつつ、銀行で活用するなら
- 取引先のニーズ推定
- 企画業務のサポート
- 問合せ対応
- 従業員のメンタルヘルス対策
などが考えれます。
もちろん、今回触れなかった伏魔殿的な「審査セクション」など銀行の根幹業務においても、ChatGPTを活用できるシーンがあるかもしれません。
引き続き、ChatGPTをはじめとしたテクノロジーをいかに活用して、銀行業務を高度化するかを考察していきたいと思います!!