銀行で働くイメージの一つが
「パワハラがすごそう」。
10数年の銀行勤務経験から言うと
『パワハラは明らかに減った。しかし、ひとたび起こったパワハラはエゲツない』です。
ということで、今この瞬間にパワハラで苦しむ人が状況を打破するため、銀行のパワハラ分析を行いました。
この記事を読むと、
- 銀行でのパワハラの実態がわかる
- パワハラへの対処法がわかる
といったメリットがあります。
ぜひご覧ください!
昨今の銀行パワハラ事情
私が入行した2000年代と比べると、パワハラは明らかに減少しています。
理由は、2019年に施行されたパワハラ防止法。
事業主に、パワーハラスメント防止のため、相談体制の整備等の雇用管理上の措置を講じることを義務付ける。
厚生労働省「労働施策総合推進法の改正」
この法律は、
- 銀行など事業者に、パワハラ対応策を整備すること
- 義務違反があったら、事業者を処分すること
を定めたもの。
また、この法律では、職場でのパワハラを6つの類型に定義づけています。
- 身体的な攻撃
:暴行・傷害 - 精神的な攻撃
:脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言 - 人間関係からの切り離し
:隔離・仲間外し・無視 - 過大な要求
:明らかに不要・不可能なことの強制、仕事の妨害 - 過小な要求
:能力とかけ離れた仕事を命じる・仕事を与えない - 個の侵害
:私的なことに過度に立ち入ること
私の実感として、特に銀行で多いと感じるのは
- 上司による「精神的な攻撃」
- 上司だけでなく周囲も巻き込んだ「人間関係からの切り離し」
- 上司・部下からの「過大な要求」
の3つです。
「身体的な攻撃」は
ほとんどありません。
パワハラを分析する理由
私たちは、パワハラの種類を知った上で、
自分の身に起きたパワハラに対し、適切な対処を行うための実践的な知恵を身につける必要があります。
パワハラは、
- 被害者
- 加害者
- 周囲環境
- パワハラ手段
この4つの要素が全てそろったときに発生します。
逆に言えば、これら要素のうちの1つでも無くすことができれば、状況を変えることができます。
『周囲環境』を変えることや『パワハラ手段』の無効化などがパワハラ防止に極めて有効!
ということで、具体的なパワハラ事例を『被害者・加害者・周囲環境・手段』の観点で分析しつつ、「パワハラにどう対処すべきか?」を考えていきましょう。
パワハラ事例と対処法
それでは、4つのパワハラ事例と適切な対処法をみていきましょう。
怒鳴る!吠える!叫ぶ!
まずは、定番のパワハラ。
大声で、きたない言葉を使い、キレ散らかす「ブチギレ系パワハラ」です。
この種のパワハラが起こりやすいのが渉外担当(営業担当)。
目標を達成できなかったときなど、怒涛のごとく問い詰められ罵倒されます。
被害者にしてみれば、成果をあげればいいことは十分承知です。
しかし、経験が浅いため、どうすればいいのか分からない。あるいは、どんなに頑張ってもうまくいかないこともあります。
一方で『加害者』は、“部下の成果があがらない” という課題の根本的な原因を把握できず、代わりに部下にキレ散らかすヤバい人。
2019年パワハラ防止法が施行された今なお、ブチギレ系パワハラする人は、犯罪行為を行っているといっても過言ではありません。
対処の糸口は『加害者』を徹底的につぶすこと。
具体的には
パワハラ対応の所管部署に通報。
重要なのは『報告するための事実を、できる限り細かくしっかりと記録すること』。
この詳細な事実記録があれば、報告を受けた部署が正しく判断してくれます。
事実記録の書き方は、以下をご参考ください。
2023年1月27日(金)
16:10 ○○社との交渉が競合銀行の低利提案のため、難航していることを●●課長に報告。
16:15 ●●課長から胸ぐらを掴まれ、壁に押し付けられ、「交渉まとめるまで帰ってくるな」と激しく怒鳴らた。突然の大声だったので、店内にいた行員が一斉にこちらを見た。
19:30 再交渉を終え帰社。交渉不成立を報告。●●課長より「帰ってくるな。死ぬまで交渉しろ。目標未達は全部おまえのせいだ。仕事辞めろ。」など激しく罵倒。土下座を強要。
「発言内容」や「周りの反応」を細かく記録を取りましょう。
当然、この事実記録においてウソや誇張表現を行ってはいけません。
ねちねち説教・長時間拘束
ブチギレ事例の真逆が、ネチネチ説教をひたすら続ける「長時間拘束パワハラ」。
あまりの長さに精神力も体力も奪われます。
質問形式で詰められていくケースもあり、
なんで数字、とれねーんだっ!!?
も、申し訳ございません!
なんでか聞いてんだよっっ!!?
競合の●●銀行が、かなり食い込んでいて、なかなか崩せなくて・・・
言い訳してんじゃねーーーっっ!
大体、おまえはな・・・くぁwせdrftgyふじこlp
理不尽なエンドレス説教が続いたりします。
また、仕事をする時間も奪われることになるので、本来やるべきことができず、「なんで仕事が終わってねーんだよ!」と新たな切り口で怒られることも。これもまた、めちゃくちゃ理不尽です。
こんなときには『パワハラ手段』を無効化することで、状況を打開しましょう。
ポイントは
「どんな状況になったら、相手が長時間拘束できなくなるか?」です。
以下に列挙するので、使えそうな手段をさがしてみてください!
周りを巻き込む集団無視
パワハラの中心人物からの圧力により、周囲の人からも無視される「集団無視パワハラ」。
誰にも頼れない、相談できない状況は、かなり精神的なダメージが大きいもの。
この苦しみの根源は「孤独感」。
この集団無視パワハラは、女性の場合が多い印象。
この集団無視を無くすには『周囲環境』に変化を。
具体的には、味方を増やすことです。
周りの人全員が、あなたを無視したいわけありません。
心の中では「無視したくない!」と思っている人も多いです。
- 周囲を観察し、自分のことを心から憎んでいるわけじゃない人を見つける。
- その人の仕事を手伝う、親切にするなど接点を持つ。
- ただし、パワハラの中心人物の悪口は言わないこと!
どこで悪口が漏れるか、分からないので注意!
1人の仲間ができるだけでも、集団無視のダメージは相当に減るはずです。
ベストなシナリオは「権力者の力を得ること」。
- 仕事をバリバリこなす孤高のエース行員
- 支店を裏で牛耳るベテラン行員
などが味方になると、逆に集団無視を仕掛けてきた相手をブッ潰すことができるかもしれません。(そんなことしても無意味ですが…)
筆でいたぶる!?不当な人事評価
直属上司の最強武器の一つが「人事権」。
どんなに頑張っても、どんなに成果をあげても「何となく気にいらねぇ」みたいなことで、不当な人事評価がくだる「人事パワハラ」もあります。
具体的には
- 人事評価を不当に悪くつける
- 人事異動にて、閑職に追いやる
といったもの。
上司の立場からすると「理由があって評価してる・閑職においてる」と言い張るかもしれません。
しかし、
部下が「その理由を理解してない」時点で、上司の説明責任としてアウト。
理解できない部下が悪いのではなく、評価者として理解できる説明ができない、あるいは評価の論理性が無いことに問題があります。
・・・と、上司側の問題点をかたる一方で、このケースは『被害者』側にも改善すべき点があるのも事実。
「何となく気にいらねぇ」と思われるような態度・振る舞いをしてないでしょうか?
下記の「上司に対する基本動作」の改善に取り組みましょう!
まとめ
今回は、4つのパワハラ事例を紹介しました。
非常につらい思いをしている人や、銀行のパワハラの噂を聞いて、就職を躊躇している人もいると思います。
しかし、どのようなパワハラ事例も
『被害者・加害者・周囲環境・パワハラ手段』のどれか1つを崩せば、状況が変わります。
つらく暗い気持ちの中で、行動を起こすことは大変なこと。
しかし、何もアクションを起こさないと、今のまま。
勇気を出して、ほんの少しでもいい。
この記事の中で
「コレならできそう」と感じられるものがあれば、1つだけでもいい。
行動を起こし、状況を変えましょう!