預金封鎖の可能性は低い|現役銀行員が語る理由2024年版

銀行全般

2024年7月に、日本のお札が新しいデザインになります。

そんな中、よく耳にするのが「預金封鎖が起きるのでは?」という心配の声。

本記事では、現役銀行員の目線で

  • 預金封鎖とは何か?
  • なぜ今、預金封鎖がウワサされているのか?
  • 預金封鎖の可能性は?
  • 今後、私たちが注意すべきこと

を解説します。是非ご覧ください!

預金封鎖について

まずは、預金封鎖の基本について確認していきましょう。

預金封鎖とは?

預金封鎖とは、銀行に預けている自分の預金を自由に使えなくなる、または使える金額が制限されることです。

預金封鎖は、大きく2つに分けられます。

  1. 個々の銀行が単独でおこなうケース
  2. 政府の命令で、全ての銀行が一斉におこなうケース

前者の「銀行単独の預金封鎖」は、預金の取り付け騒ぎを抑えるために実施するものです。

「預金の取り付け騒ぎ」とは
預金者が預金貯金・掛け金等を取り戻そうとして、金融機関の店頭に殺到し、混乱をきたす現象のこと。

Wikipedia「取り付け騒ぎ」
おやつイモ
おやつイモ

一斉に預金を引き出されると、銀行は債務超過に陥り、経営破綻することも。

今、話題になっているのは、後者の「政府命令の預金封鎖」です。

過去の預金封鎖の実例とは?

過去には、以下のような預金封鎖の実例があります。

  • 1933年 アメリカ合衆国
  • 1946年 日本
  • 1990年 ブラジル
  • 2001年 アルゼンチン
  • 2002年 ウルグアイ
  • 2013年 キプロス

注目すべきは

  • 国際的に見れば、近年でも預金封鎖が行われていること
  • 過去、日本でも預金封鎖されたこと

の2つです。

おやつイモ
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1946年は、日本が敗れた第二次世界大戦直後。日本経済がズタボロだった時代です。

なぜ預金封鎖が2024年にウワサされているのか?

預金封鎖とは『政府命令で、預金を自由に使えなくなること』と聞くと

何のために??

って思いますよね。

次は、預金封鎖の目的なぜ今、預金封鎖がウワサされるのかを確認しましょう。

預金封鎖の目的とは?

預金封鎖の目的は

  • ハイパーインフレを抑制するため
  • 国の収入を増やすため

の2つです。

預金封鎖で、ハイパーインフレがおさまる理由

ハイパーインフレーション

すべての商品の価格が上昇し、現地通貨の実質的な価値が急速に失われていく

Wikipedia「ハイパーインフレーション」

テレビ等では、インフレを『モノの価値があがること』と説明することがほとんど。

しかし経済学的には、逆の捉え方をすることが多いです。

それは、
インフレ=モノに対して相対的に『通貨の価値が下がっている』という捉え方です。

つまり、インフレの抑制とは、通貨の価値を上昇させることです。

そして、通貨の価値を上昇させるためには、流通する通貨を減らせばいい。

この流通する通貨を減らす手段の一つが『預金を使えなくする預金封鎖』なのです。

おやつイモ
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預金封鎖により、自由に円を使えなくなることで『円は希少なものだ!』と捉えられ、価値が上昇します。

預金封鎖で、国の収入が増える理由

預金封鎖で直接的に、国の収入が増える訳ではありません。

過去の預金封鎖の実例を見ると、預金封鎖後に『政府が預金の一部を徴収すること』が散見されます。

2013年キプロスの実例
  1. キプロスで経済危機が発生。
  2. 国内の預金者に、国の損失を負担させる政策を立案。
  3. 政府主導の預金封鎖を実施。
  4. 10万ユーロ(当時、約1,300万円)を超える預金を没収。

以上のように、預金封鎖後に政府が『預金の一部を徴収』あるいは『一定の税金を徴収』といったかたちで、国の収入を得ることがあります。

おやつイモ
おやつイモ

国が預金の一部を奪うために、預金を引き出せなくするってことですね!

今、なぜ預金封鎖がウワサされるのか?

今、日本で預金封鎖がウワサされる理由は『1946年に日本で預金封鎖された状況と似ている』から、と推察されます。

何が似ているかというと

  • インフレ
  • 新札を発行するタイミング

の2点です。

おやつイモ
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ここで重要なのは…

「1946年に似ている」であって「同じではないこと」です!

詳しくは続きをご覧ください。

預金封鎖の可能性2024年

それでは、日本で本当に預金封鎖が行われるのか?

現役の金融マンの視点でこたえると

預金封鎖の可能性は、限りなくゼロに近い

と考えています。

理由は大きく4つです。

可能性が低い理由①:動機がない

預金封鎖の可能性が低い最大の理由が、預金封鎖を行う動機がないことです。

でも、今ってインフレ状態なので、預金封鎖でインフレ抑制すべきでは?

現在は、インフレ状態ではなく、デフレ(モノの価格が低すぎる状態)から抜けようとしている状態です。1946年の第二次世界大戦後の経済混乱期とは、全く違います。

1946年にもあった新札発行のタイミングじゃないか!

1946年は、新札発行があったから預金封鎖をしたのではなく、預金封鎖の効果をより強めるため、新札発行をきっかけに預金を集めた上で、預金封鎖と預金の没収を行ったのです。

可能性が低い理由②:法的根拠がない

1946年に日本で預金封鎖が行われた際は、金融緊急措置令(昭和21年2月17日公布即日施行)に基づき、預金封鎖が実行されました。

この金融緊急措置令は、昭和38年7月22日に廃止されています。

したがって現状、日本で預金封鎖を行おうとしても法律上、不可能です

もちろん、今から関連法案を整備することはできますが、その場合には次の理由③で、預金封鎖は困難だと考えられます。

可能性が低い理由③:効果がない

これから預金封鎖を行う場合、預金封鎖を可能とする法律を施行する必要があります。

インターネットはおろかテレビも普及してなかった1946年であれば、密かに法律を制定して預金封鎖できたでしょう。

しかし、情報にあふれる現在では、預金封鎖に関する法案の審議を開始した時点で、日本全体に知れ渡り、預金が封鎖される前にお金をおろされると考えられます。

つまり、預金封鎖の効果は発揮されません。

可能性が低い理由④:できない

また、銀行の立場からすると「事務上、預金封鎖は非常に難しい」です。

1946年当時は、銀行窓口での出金を止めるだけで済んでいた預金封鎖。

現在では、お金を引き出すには「ATM」「インターネットバンキング」等があり、また自動で預金口座から引き落される「自動振替」や「デビッドカード取引」など、預金が使われる方法は数多くあります。

これら、一つひとつの取引を停止すること自体が困難ですし、口座振替の中には税金収納などもあることから、政府が預金封鎖を行う意義に欠けると考えられます。

おやつイモ
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ATMが登場したのが1977年。

IBは1990年代。

口座振替は1961年。

今後、私たちが注意すべきことと対策

預金封鎖の可能性は極めて低いです。

しかし万が一、預金封鎖となった際に困らないよう経済・金融動向を注視しましょう。

そして、もし預金封鎖の検討が始まった場合には、預金以外の方法で資産を保有するようにしましょう。

具体的には以下の方法があります。

  • お金をおろして、現金で持っておく
  • 外国の銀行に送金する
  • 投信・不動産・金などの資産

まとめ

まとめ

今後、日本で預金封鎖が行われる可能性は極めて低いです。なぜなら

  • 預金封鎖を可能とする法律は廃止されている
  • 預金封鎖しようとしても、意味・効果がない
  • お金をおろす手段が多すぎて事務上、困難
  • 預金封鎖が必要なほどインフレではない・日本財政は緊迫してない

といった理由が挙げられます。

とはいえ、万が一にも預金封鎖が行われないか金融・経済動向には注意しつつ、ご自身の財産を守るよう心掛けましょう!!

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