銀行でお金を借りるとき、もっとも気になるのは金利ですよね。
金利が低いほど、毎月の返済金額が少なくなるもんね!
しかし、
- 金利の内訳は何なのか?
- 何と何を足したものが金利なのか?
ここまで知っている人は、意外に少ないと思います。
この記事では、
- 銀行のローン等の金利の内訳
- その内訳ごとの変動要因
を解説します。
この記事を読むと
- 銀行の金利について、銀行員なみに詳しくなれる
- お金を借りるときの不安が軽減
- 借りたあとの金利変動を予測できる
といったメリットが得られます。ぜひご覧ください!
金利とは?
金利は、お金の貸し借りで借り手が貸し手に対し、借入金額に上乗せして支払う対価の割合です。
じぶん銀行「お金のコラム集」
簡単にいうと「お金を借りた人が、お金を返すときに上乗せして支払う利息の割合」です。詳しくは以下の図をご覧ください。
右側の男性は、銀行(左側)から100万円を借りました。
その後、男性は1%の金利を上乗せした101万円を銀行に返します。
この例は、一括返済するケース。
一般的なローンは、一括でなく分割して返済することがほとんどです。
金利の内訳とは?
銀行の金利は、毎月変動しています。したがって、借りるタイミングによって、適用される金利が異なります。
また、変動金利で借りた場合には、借りたあとも金利は変動します。
金利が変動する理由を知るためには、金利が何で構成されているかを知る必要があります。
また、金利の構成要素のうち
- 増減しやすいものは何なのか
- 銀行によって差が出る構成要素は何か
を知ることで、各銀行の戦略の違いを知ることもできます。
では、詳しく見ていきましょう!
金利の構成要素
ズバリ!
金利 = 仕入れ原価 + 経費 + 利益 + 信用コスト
です。
ラーメン屋さんを例にすると・・・
- ラーメン屋の仕入れ金額
=金利の仕入れ原価 - ラーメン屋のアルバイトへの賃金
=金利の経費 - ラーメン屋の利益
=金利の利益 - ラーメン屋の売れなかった食材の廃棄率
≒金利の信用コスト
それぞれ詳しく見ていきましょう。
仕入れ原価
金利の内訳その1『仕入れ原価』。
これは、ラーメン屋さんで言うと、麺やチャーシューなどの材料にあたるものです。
銀行が貸すお金。もともとは、
- 皆さんから集めた預金
- インターバンク市場(金融機関だけの市場)で借りたお金
などです。
つまり、銀行は『預金者や市場から借りたお金を貸出している』ということ。
したがって、仕入れ原価は『預金者や市場に支払う利息』のことを指します。(下図ご参照)
経費
次は『経費』。
その名のとおり、お金を貸し出す事務作業にかかる経費です。ちなみに、銀行の経費で大半を占めるのは人件費です。
銀行によっては『事務コスト』と呼ぶこともあります。
利益
金利の内訳、3つ目は『利益』。
これはシンプルな話で
ラーメン屋さんならラーメンを売った儲け、銀行ならローンを貸すことで得る儲けのことです。
信用コスト
最後の『信用コスト』は少し専門的な話で、別名『デフォルトコスト』とも言います。
デフォルトとは、債務の契約上の義務が果たされないこと。
Wikipedia「デフォルト(金融)」
金融業界でいうデフォルトとは『お金を借りた人が、約束どおりに返済しないこと』を意味します。
銀行は
『たくさんの人にお金を貸してるけど、一部の人は返済しないかもしれない。なので、返済されない分のお金を予測して、金利に上乗せしよう!』ということで、金利に信用コストを組み込んでいます。(下図ご参照)
内訳の中で『増減しやすいもの』はどれ?
仕入れ原価・経費・利益・信用コストの中で、最も増減しやすいのは『仕入れ原価』です。
具体的には、銀行が市場で借りたお金の利息が最も増減しやすいです。
預金者への支払い利息は、ほぼ変わらないもんね!
2024年4月には、マイナス金利解除や長期金利の上昇などのニュースが多く、以下のような記事をたびたび目にします。
ネット銀行の金利が安い理由は?
一般的に地方銀行などと比べて、ネット銀行の金利はかなり安いです。
例えば、住宅ローンの金利だと
- 地域密着の地銀「佐賀共栄銀行住宅ローン」は、0.975%
- ネット銀行大手の「住信SBIネット銀行住宅ローン」は、0.32%。
といった具合に大きく差があります。
この理由は、金利の中でも『経費の差』によるもの。
ネット銀行は実店舗を持たないこと、AI等の活用により事務の省人化が進んでいることから、経費が抑えられており、金利が安くなります。
消費者金融などの金利が高い理由は?
銀行と比べて、消費者金融の金利が高めなのは『信用コスト』が主な要因です。
銀行は審査が厳しく、きちんと返済しそうな人にしか融資しません。例ですが、100人に1人が返済しないくらいをイメージしてください。
一方、消費者金融は返済が滞る可能性がある人にも融資します。
仮に、100人のうち30人が返済できない予想すると、残りの70人が『返済できない30人分の信用コスト』を負担する必要があり、結果として金利が跳ね上がるのです(下図ご参照)。
まとめ
皆さんがお金を借りる際、もっとも気になる金利は
- 『仕入れ原価+経費+利益+信用コスト』で構成されており
- この中で、最も増減するのが『仕入れ原価』
- ネット銀行は『経費』が低いので、金利が低い
- 消費者金融の金利が高い要因の一つが『信用コストの高さ』
といったことを紹介して参りました。
以上を踏まえて、目に見えてイイコトがある訳ではありません。
しかし、今後の長い人生の中で、きっといつか役に立つ金融リテラシー。
本ブログでは、様々な金融知識を紹介していきます!!