銀行で住所変更しないとどうなるか？｜いつまでに、どうやって？

現役銀行員の私ですが、たまに質問されるのがコレ。

いきなり、預金を差押えられたりはしません。

しかし、住所変更をずっとしてないと、4つの問題が発生します。

この記事では、

• 住所変更しないと発生する4つの問題

と

• そもそも、なぜ住所変更しないといけないか
• 住所変更のノウハウ

を紹介してまいります。

是非ご覧ください！

銀行で住所変更しないとどうなる？

といった考えはダメです！

新しい住所を銀行に知らせないと、4つの問題が発生します。

それぞれ紹介していきます。

個人情報流出の危険

銀行で住所変更してないと
当然、銀行が出す手紙やDMは『旧住所』に送られます。

もし郵便局に「新住所への転送サービスの申請」を行っていれば、旧住所でなく新住所に配達されるので問題ありません。

しかし、転送サービスを申請していない場合は、そのまま旧住所に送られてしまいます。

銀行が送る手紙には、以下のようなものがあります。

• 預金関連
  ＜内容＞預金額、利息額、金利ほか
• ローン関連（返済明細など）
  ＜内容＞借入額、利率ほか
• セールスDM
  ＜例＞○○ローン利用のお客様限定のDMです！

なお銀行は、新住所への転送を不可とする『転送不要郵便』を多用します。

この転送不要の手紙に関する問題が2つ目です。

利用中のサービスの停止

おさらいになりますが
『転送不要の手紙』とは、新住所に転送させない手紙です。

この転送不要の手紙が旧住所に送られ、受け取られなかった場合、その手紙は銀行に戻されます。

手紙を返送された銀行は、

1. 住所が変わっているのに、住所変更してない人と認識し
2. その人を「住所変更の届出なし」とシステム登録。
3. インターネットバンキング・ATMなどの取引を一部停止する。

という対応を行います。

銀行手続きの複雑化

銀行で何らかの手続きをおこなうとき、本人確認のため、運転免許証などの本人確認資料の提出を求められます。

この本人確認資料の住所と、銀行に届け出ている住所が違うと、手続きがストップされます。

と思うかもしれませんが、以下の状況では困ったことになります。

• 【急いでお金を借りたいケース】
  でも、住所変更してない！
  住所変更に必要な住民票を入手せねば…
• 【通帳やカードをなくしたケース】
  不正利用されないよう停止したい！
  でも、住所変更してないから停止できない。
• 【ネットで新サービス利用するケース】
  住所が最新じゃないから資料が届かない！
  住所変更ってネットで出来る？
  どうすればいいの…？

ローンの全額返済の要求

結論からいうと
ローン利用者が住所変更せずにいると、ローンの全額返済を要求される可能性があります。

ローンの契約書（金銭消費貸借契約証書）の『期限の利益喪失』条項を確認しましょう。

以下の各号のいずれかに該当する事由が発生した場合、借入人は、本契約に基づく一切の債務について当然に期限の利益を失い、貸付人に対して直ちに当該債務を弁済しなければならない。

(1)・・・・
(2)・・・・
(3)借入人が所在不明となったとき

分かりやすくいうと
「お金を借りている人が、どこに住んでるか分からなくなったら、銀行にお金を返さないといけないよ」
ということ。

実務的な流れを言えば、

1. 借入人が引っ越していることに銀行が気づく。
2. 銀行は借入人を探す。
3. 借入人が見つからない場合
   全額返済を請求。しかし、借入人の所在不明なので全額返済されず、代位弁済となり、信用情報機関に登録（ブラックリスト登録）。
   借入人が見つかった場合
   借入人に対し住所変更手続きを要請。住所変更されれば、お咎めなし。住所変更を拒否し続ければ、全額返済を請求。

といった流れになります。

銀行で住所変更しないといけないのか？

ここからは、基本に立ち戻り

• そもそも、なぜ住所変更しないといけないのか？
• 住所変更すべきタイミングは？
• いつまでに住所変更すべきか？

を解説していきます。

なぜ住所変更しないといけない？

というのは、契約違反になる可能性が極めて高いです。

住所が変わったら
絶対に銀行へ住所変更の届け出を行う必要があります。

なぜなら、
預金口座を作った際に交付される『普通預金約款』で、定められているからです。

約款とは、多数取引のためにあらかじめ作られた定型の契約条項です。

GMOサイン

普通預金約款には以下2点が規定されています。

• 氏名、住所などに変更があった場合、ただちに届出事項の変更処理を行うこと
• 住所変更しなかったことで発生した損害について、銀行は責任を負わない

つまり、先に紹介した問題。
例えば、あなたの個人情報が流出され、大きな被害が発生しても、銀行は何の責任も負わないということです。

銀行で住所変更すべきタイミングは？

銀行で住所変更を行うためには、新しい住所が記載された公的な証明書が必要です。

したがって、
役所に転居届を提出して、新しい住所の住民票を発行できるようになったあと、銀行で住所変更の手続きを行いましょう。

いつまでに住所変更する必要ある？

銀行のルールでは「できる限り早めに住所変更してください」が定番。
下は、みずほ銀行の例です。

お引越し等で住所が変わられた際には、みずほ銀行宛にお早めに住所変更の届出をお願いします。

みずほ銀行「住所変更手続きのお願い」

逆に言えば、『○週間以内』のように明確な期限はありません。

住所変更以外にやるべきこと

ここまでのご説明で
引越ししなどで住所が変わったら、必ず銀行で住所変更手続きを行う必要があると理解頂けたと思います。

では、その他に銀行でやるべきことがないか確認しましょう！

取引する支店は変えるべき？

答えは『取引する支店を変える必要はない』です。

昔は、通帳を作った支店でしかできない手続きが多くありました。

しかし、昨今ではどの支店でもほとんどの手続きができるので、近所の支店に取引を移す必要はありません。

公共料金の引落し手続きは？

引越しと同時に、電気代などの公共料金の口座引落しを変更するケースは多いです。

口座引落しの手続きは、

• 引き落とす口座番号
• キャッシュカードまたは印鑑

があれば可能です。

住所が変わった云々は関係ないのでご安心を。

その銀行系列のクレジットカード

あなたが取引している銀行系列のクレジットカードを利用している場合、銀行の住所変更と同時に、クレジットカード側の住所変更も必要です。

大抵の場合、窓口の銀行員が気がつくと思いますが、気づく様子がない場合は、ひとこと声をかけてみましょう！

結婚が理由で引っ越す人は･･･

結婚が理由で引っ越す。
だから、住所変更するという女性は名字も変わりますよね。

ということは、銀行の預金口座の名義変更を行う必要があります。

名義変更を行わないと、これもまたいくつかの問題が発生します。

詳しくは、下の記事でご確認ください！

どうやって住所変更すればいい？

最後に、銀行でどうやって住所変更の手続きを行えばいいかを紹介します。

住所変更5つの方法

銀行での住所変更の方法は、以下5つの方法があります。

1. 支店の窓口で手続きする。
   ※取引している支店じゃなくてもOKです。
2. インターネットバンキング（ＩＢ）で手続きする。
3. 銀行アプリで手続きする。
4. 電話で手続きする。
   ※「平日の日中のみ」などの時間の制約あり。
5. 住所変更届を郵送する。

どの銀行でも、すべての方法が使えるわけではありません。

ご自身が利用する銀行での住所変更方法の調べ方を紹介しておきます。

「どの方法で住所変更できるか」を確認する方法

私の大好きな福岡銀行を例に、「どの方法で住所変更できるか」を確認する方法を紹介します。

１．『○○銀行　住所変更　方法』と検索する。
　　※○○銀行は、取引銀行名を入力。

２．検索結果から、関係するページをクリックする。

３．住所変更の方法をチェック！

住所変更に必要なものは？

住所変更の手続きに必要なものは、銀行によって少し違います。

いくつかの銀行を例に、必要なものを具体的にみていきましょう。

みずほ銀行

• 支店の窓口の場合、通帳と取引印鑑と本人確認資料が必要。
• 電話の場合、口座番号とキャッシュカードの暗証番号が必要。
• ＩＢの場合、ＩＢ利用カード記載の数字とＩＢ暗証番号とＩＢログインパスワードが必要。

⇒みずほ銀行HP「住所・氏名など届出内容を変更したい」

三菱UFJ銀行

• 支店の窓口の場合、通帳と取引印鑑と本人確認資料が必要。
• 電話の場合、口座番号とキャッシュカードの暗証番号が必要。
• ＩＢの場合、特に記載はないが、ＩＢにログインするためのＩＢ暗証番号とＩＢログインパスワードは必要と思われる。

⇒三菱UFJ銀行HP「住所・氏名など届出内容を変更したい」

三井住友銀行

• 支店の窓口の場合、取引印鑑と本人確認資料（変更後の住所が確認できるもの）が必要。
• ＩＢと銀行アプリの場合、ワンタイムパスワード、本人確認資料のアップロードが必要。

⇒三井住友銀行HP「住所・氏名など届出内容を変更したい」

まとめ

銀行で住所変更をし忘れていても、

• 預金口座が使えなくなったり
• お金をおろせなくなったり

はしません。

しかし、以下のデメリットがあります。

• ローンがある人は、全額返済を要請される
• 銀行からの手紙が旧住所に送られ、個人情報流出
• 利用中の銀行サービスの一部機能の制限
• 新たに使うサービスの契約時に面倒な手続きが発生

住所変更はすぐ行う必要はありませんが
必ず実施しましょう！！