この記事は、預金残高がマイナスになり、不安を感じている人のための記事です。
預金残高がマイナスになるのは、銀行のサービスの一つです。まずはご安心を。
ただし、預金残高をマイナスのまま放置していると、いつからか利息が付いてしまいます。したがって、早めのマイナス解消をオススメします。
詳しくは本文をご覧ください。
預金がマイナスになる理由
通帳を見ると残高がマイナスになるのは『自動貸越サービス』によるものです。
自動貸越サービスとは、お金をおろすときに預金残高が足りなくても、自動で預金残高を超えてお金を引き出せるサービスです。
イメージは下図をご参照ください。
この自動貸越サービスには、2つの種類があります。
この種類によって、マイナスのまま放置したときの影響が少しだけ異なります。
それでは、2つの自動貸越サービスを詳しく解説します。
総合口座の自動貸越サービス
1つ目の自動貸越サービスは、普通預金と定期預金などがひとつになった「総合口座」についてる自動貸越サービスです。
預金口座には、総合口座をはじめ様々な種類が。
詳しくはコチラ→預金のラインナップ全11種
具体的には、『総合口座の定期預金額の90%まで、普通預金残高のマイナスを許容する』という貸越サービス。
例えば「定期預金が100万円ある人は、普通預金をマイナス90万円まで使える」というもの。
なお、マイナスには上限金額が設けられています。主な銀行の例は以下のとおりです。
銀行名 | 貸越上限金額 | 貸越利率 | リンク先 |
東京三菱UFJ銀行 | 定期預金合計額の90%(最高200万円) | 定期預金の約定利率+0.5% | 総合口座 |
みずほ銀行 | 定期預金合計額の90%(最高200万円) | 定期預金の約定利率+0.5% | 総合口座の当座貸越とは |
三井住友銀行 | 定期預金合計額の90%(最高200万円) | 定期預金の約定利率+0.5% | 総合口座取引規定 |
総合口座で定期預金をしている人は、総合口座の自動貸越サービスにより、残高がマイナスになっていると考えられます。
総合口座の自動貸越サービスは、基本機能なので身に覚えがない人が多いようです。
随時返済型カードローン
総合口座の定期預金がないのに、残高がマイナスになっている。
この場合は、2つ目の自動貸越サービス「随時返済型カードローン」を利用していると思われます。
随時返済型カードローンは、申込みと審査を経て利用可能。
記憶にある人がほとんどではないでしょうか。
カードローンという名がつくものの、専用のカードはありません。
キャッシュカードでお金をおろしたときや、預金口座からの引落しが発生したときに、あらかじめ決められた上限金額までマイナスを許容してくれます。
日本では、一部の地銀しか取扱いがありません。一方、欧米ではオーバードラフトという名で、広く利用されています。
利息の負担額はどのくらいか?
この2つの自動貸越サービスを使ったとき、銀行に支払う利息額はどのくらいなのか、チェックしましょう!
【総合口座の自動貸越サービス】
・マイナス50万円
・利率=定期預金の利率+0.5%
仮に定期預金の約定利率=0.01%
・50万円 × 0.51% = 年間2,550円の利息
【随時型カードローン】
・マイナス50万円
・利率=9.8%
・50万円 × 9.8% = 年間49,000円の利息
随時型カードローンは、かなりエゲツない利息額!
ゆうちょ銀行の残高マイナスのケースも…
もちろん、ゆうちょ銀行にも自動貸越サービスがあります。詳しく解説していきます。
ゆうちょで残高マイナスにする商品
総合口座の自動貸越サービスにあたるのが、ゆうちょ銀行の『貯金担保自動貸付け』。
貯金担保自動貸付けは、以下2つの種類があります。
- 定額貯金担保の自動貸越
利率=定額貯金金利+0.25% - 定期貯金担保の自動貸越
利率=定期貯金金利+0.5%
次に、随時返済型カードローン。
こちらはゆうちょ銀行では『口座貸越サービス』です。利率が14%と高めな点を除けば、商品性は一般的な銀行の随時返済型カードローンと同じです。
ゆうちょではマイナスいくらまで引き出せる?
ゆうちょ銀行は他の銀行に比べて、多くマイナスの金額まで引き出せます。
一般的な銀行の場合は、
- 総合口座の自動貸越が最大200万円
- 随時型カードローンが多くて100万円(※銀行によって異なります)
ゆうちょ銀行の場合は、
- 貯金担保自動貸付けが最大300万円
- 口座貸越サービスが最大30万円
まとめると、ゆうちょ銀行は
ということで、非常に良心的なサービス内容になっています!
自動貸越サービスのメリット
さて、ここからはゆうちょ銀行の自動貸越サービスも含め自動貸越サービスのメリットを改めて確認しましょう。
自動貸越サービスの最大のメリットは、銀行に預けてるお金以上の金額を使える点。
このメリットが発揮される具体的なシーンを紹介します。
電気代などの引落し
電気代やスマホ代などの引落しの日。引落し分のお金(預金残高)がなかったら、引落しできずに延滞状態になります。
銀行では、引落しエラーのことを「不能」と呼びます。
自動貸越サービスがあれば、残高がなくてもエラーにならずに引落しができます。
急な出費
当然、ATMでお金をおろす際も、自動貸越サービスのメリットが発揮されます。
「急に現金が必要になった!」というときでも、許容範囲内でマイナスまでお金をおろすことが可能です。
「定期預金は、すぐに現金でおろせないのでイヤ」という方。
自動貸越サービスがある総合口座なら、マイナスまで現金おろせるのでご安心ください!
銀行口座をマイナスのまま放置すると?
自動貸越サービスは、まぎれもなくローンの一種です。
預金通帳にも、お借入明細と書かれています(下の写真)。
したがって、マイナスのまま放置したときの影響は、ローンを借り続けたときの影響と同じです。
具体的に確認しましょう。
通帳マイナス分の利息支払い
自動貸越サービスはローンの一種なので、マイナス分だけ利息を支払わないといけません。
利息の支払いは、預金口座からの自動引き落し。つまり、利息分だけマイナスがどんどん増えていきます。
下図は、「マイナス200円のところ、50円の利息が引き落とされて、残高がマイナス250円になったケース」です。(※分かりやすくするため、利息は大きい金額にしてます。)
なお、貸越利率は「総合口座の自動貸越サービス」と「随時返済型カードローン」で異なります。
(随時返済型カードローンの例)鳥取銀行=9.8%(2023年11月14日時点:鳥取銀行HP)
普通預金がマイナスだと、定期預金分の利息にプラスして0.5%分の利息を銀行に支払わないといけません。
強制解約と代位弁済の可能性
自動貸越サービスには、以下のとおりマイナスの上限金額があります。
マイナスのまま放置、つまり利息を支払い続けると、いつか上限金額をオーバーになります。すると・・・
上限金額オーバーは、延滞状態とみなされ、銀行から電話連絡があります。
銀行からの電話連絡に関する詳細は、コチラをチェック!
信用情報機関に登録される
随時返済型カードローンのみですが、KSCやCICといった信用情報機関に「ローン利用あり」と登録されます。
特に上限金額オーバーによる代位弁済にいたると、ブラック先として信用情報機関に登録されるため、影響は大です。
便利な貸越サービスですが、マイナス残高の状況はしっかりチェックしましょう。
マイナス通帳を解消する方法
「マイナス分の利息がつくのはイヤ!」という人は、普通預金にお金を入金することで、マイナスを解消しましょう。
特に、総合口座の自動貸越サービスで、常に残高がマイナスの人は、定期預金があるのに0.5%の利息を払い続けることになります。
早めに、定期預金を解約して入金することをオススメします。
その他の留意点
放置した場合のデメリット以外にも、いくつか留意点があるので、紹介しておきます。
利息はいつからつくのか?
自動貸越サービスの利息は、マイナスが発生した日から発生します。毎日、マイナス残高分だけ日割り計算された利息が積みあがります。
そして、積みあがった利息は、2月と8月の年2回だけ自動で引き落とされます。
他のローンだと、毎月返済があるので、ローンを利用していることを認識する機会が多いです。
しかし、自動貸越サービスは年2回しかローンを実感する機会がありません。
意識しないままに、残高のマイナスが大きくならないよう、注意しましょう!
両方の自動貸越サービスがあるとき、どちらが優先?
総合口座の自動貸越サービス、随時返済型カードローンを両方とも契約している人が、マイナスまでお金をおろすと、どちらの自動貸越サービスが使われるのか?
それは、貸越利率が低い「総合口座の自動貸越サービス」が優先的に使われます。
「総合口座の自動貸越サービス」の限度額を超えてはじめて、利率の高い「随時返済型カードローン」が使われるようになります。
くれぐれも自動貸越サービスの使い過ぎには十分、注意しましょう!
未成年の人は使えない!
ローンの一種である自動貸越サービス。当然、未成年者(18歳未満)は利用できません。
この記事をご覧になった未成年の人は、自動貸越サービスに頼ることはできません!
まとめ
預金残高がマイナスになるのは「自動貸越サービス」のおかげです。
自動貸越サービスは「総合口座の自動貸越サービス」と「随時返済型カードローン」の2種類。
マイナス残高のまま放っておくと、以下の事態になってしまいます。
自動貸越サービスは、とても便利なサービスです。
しかし、あくまでローンの一種であることを忘れずに、使うべきシーンのみ利用しましょう!