『銀行に行くときは、月末と五十日(ごとうび)を避ければよい』

それだけじゃ甘いです!
銀行は、大きく
- 窓口担当
- 融資担当
- 渉外担当
に分かれており、それぞれで繁忙期は異なります。
この記事では、
そもそもあなたの用事は、銀行の忙しい時期を気にする必要があるのか?
を解説したうえで、
銀行員の担当業務ごとの忙しい時期の実態
を解説していきます!
- 地方の第一地銀に約20年、勤める現役銀行員。
- いくつかの支店に勤務したのち、他社出向を経て、現在は本部の企画部門に勤務中。
- 主に、営業戦略の立案やマーケット分析に従事しています。
ネットで検索すると
- 謎のコンサル会社のデタラメな記事
- 途中リタイアした元銀行員の表面的な記事
など、目を疑うくらい『銀行員の忙しい時期』の本当のことが書かれていません。
この記事をお読みになり、銀行の繁忙期の真実をチェックしましょう!
銀行の繁忙期を気にしなくてもよいケース

皆さん、銀行に何らかの用事があって、この記事をご覧になっていると思います。
しかし、用事の内容によっては、銀行の忙しい時期を気にする必要がないこともあります。
具体的には、
- 簡易な手続き
- 預金の入出金
- 税金の支払い
- 急を要する手続き
- 住所など届出事項変更
- キャッシュカードなどの紛失届
- 相続手続き
- 住宅ローン以外のローン申込み
などです。上記に該当する人は、この記事はご参考までにご覧ください。
『住宅ローン以外のローン申込み』は意外かもしれません。
ローンの申込みのため、銀行に行くと

ネットでお申し込みください!
と言われます。
したがって、最初からネットでローン申込みすることをオススメします。

ネット申込みの場合、金利を安くしている銀行も多くあります!
逆に、繁忙期を気にすべき用事を紹介します。
- 預金口座の開設
- 資産運用の相談
- 住宅ローン等の相談
- 事業に関する貸出の相談
いずれの用事も、銀行員としっかり対話すべき用事です。
気にすべき繁忙期の考え方

繁忙期には、時間の捉え方で3段階あります。
先ほど紹介した繁忙期を気にすべき用事ごとに、どこの段階まで気にすべきかを解説します。
預金口座の開設
『一日のうち忙しい時間』だけ気にしましょう。
預金口座の開設は当日中に終わるので、なるべく他のお客さんが少ない時間を見計らって、銀行にいくことをオススメします!

預金口座を作るだけで、待たされたくないですよね!
資産運用の相談
『ひと月の中で忙しい日』を避けつつ、訪問する日を決めたら『一日のうち忙しい時間』をなるべく避けて、銀行に行きましょう。
『ひと月の中で忙しい日』を避ける理由は、エース銀行員に相談できるようにするため。
忙しい時期は、仕事ができる銀行員ほど予定が埋まります。
もしも忙しい日に、資産運用の相談にいったら、スキルが低い銀行員に担当されてしまう可能性が高くなります。

資産運用相談は、良い担当者にあたることが極めて重要!
住宅ローンと事業性貸出の相談
住宅ローンと事業に関する貸出は、銀行員と何度も交渉する必要があります。
したがって、できる限り『年間を通して忙しい月』を避けることをオススメします。
両方とも、大きな金額を扱う大切な取引。
担当する銀行員には、しっかりと余裕をもって相談に乗ってもらう必要があります。
【本題の前に…】ネット上の誤った情報

多くのサイトで、銀行が忙しいのは、四半期(3月・6月・9月・12月)と紹介されてますが、必ずしもそうではありません。
他サイトで紹介されている『銀行員が四半期に忙しくなる理由』の間違いをチェックしていきます。
生活保護の支給時期
四半期末(3、6、9、12月)が特に多忙となり、月初は生活保護費が支給される1日や2日は窓口が混みあいます。
某サイト

生活保護は毎月支払いなので、四半期の忙しさとは関係ありません。ちなみに年金が支給される偶数月は銀行窓口・ATMが混むのでご注意ください。
四半期決算の時期
年度決算の3月と中間決算の9月は特に忙しいです。また、4半期決算をしているところもあるので、6月と12月も忙しいでしょう。
某サイト

2点の間違いがあります。
①決算作業で忙しいのは、本部の限られた部署(主計部門)のみ。
②決算作業で忙しいのは、期末の数字が固まった4月・10月です。
営業成績の締めの時期
3月と9月は、銀行員個人の成績の締め切り月にあたる。そのため、大口の融資案件を月末までに成約にさせる。
某銀行員サイト

3月・9月が営業成績の締めの月であることは事実。
しかし、3月中に融資を完了するため、顧客交渉や手続きで忙しいのは2月です。
【本題】銀行の忙しい時期
お待たせしました!
- 一日のうち忙しい時間
- ひと月の中で忙しい日
- 年間を通して忙しい月
それぞれの繁忙期を紹介していきます!
一日のうち忙しい時間
大きく3つの時間帯に忙しくなります。
- 開店前に並んでいる人が押し寄せる開店直後は要注意!
- 急ぎの人は「我先に!」とモノ凄い勢いのことも。

特に、年金支給日はヤバい!
- お昼休みの銀行員がいるので、窓口が手薄になります。
- また、窓口管理者が休憩に入ると、代わりに『窓口業務に慣れてない男性役職者』がサポートに入り、足を引っ張ったりします。
- 主に、企業の経理担当の人の駆け込み来店が多いです。
- しかも企業経理がもってくる手続きは大量!
ひと月の中で忙しい日
ひと月の中では、冒頭のとおり
月末と五十日(ごとうび)が忙しいです。
特に、月末はあらゆる人がご来店。
「月末じゃないとダメ」という人以外は、月末を避けましょう!
年間を通して忙しい月
年間を通して忙しい月は、担当業務によって異なります。
まず、大きく分けて
- 支店に勤務する銀行員
- 本部部署に勤務する銀行員
があり
さらに、支店に勤務する銀行員は
- 支店の窓口にいる銀行員
- 融資を担当する銀行員
- 渉外を担当する銀行員
で分けられます。

それぞれの忙しい時期を紹介します!
支店の窓口担当

正直、支店の窓口担当者の忙しさは、月によって大きく変わりません。
しいて言えば、3月・9月の月末付近が忙しいくらい。
これは、取引先企業の半期決算に伴い、店頭にもってくる処理伝票が多くなるから、です。
しかし、インターネットバンキングが広がる現在、支店にくるお客様は減少。
また、重要なお取引先については、支店に来て頂くのではなく、渉外係がお邪魔して必要な手続きを行います。
支店の融資担当

融資を担当する銀行員が忙しいのは、一般的に6月と7月です。
融資担当者の主な仕事は「融資している企業の全般的な管理」。
そして、その中でも最も重要かつ大変なのが融資先企業の評価・格付け。
この格付け作業は、企業の決算書に基づいて行います。
日本企業の多くが3月末決算で、決算書が5月に完成。
したがって、決算書を受け取り、企業分析を行う6月から7月にかけて忙しくなるということです。
支店の渉外担当

渉外を担当する銀行員は、営業目標の締めの月の前が忙しくなります。
この『営業目標の締めの月の前』というのは、担当する商品や顧客によって異なります。

顧客との初回接触から契約までの所要時間によって、忙しい時期はズレます。
そして、この所要時間は、商品によって異なります。
- 富裕層などの個人渉外担当者
投資信託など資産運用商品を販売。これら商品は、短い期間で契約できるので、忙しい時期は3月9月です。 - 住宅など不動産ローンを扱う個人渉外
条件交渉・不動産評価など契約までの時間が長いです。目標の締め月の2か月前の2月8月が忙しいです。 - 法人を担当する渉外マン
いわゆる『仕込み』を行う1~2月と7~8月が忙しいです。3月と9月には手続きを淡々とこなす、というスタイルが多いでしょう。
本部部署

本部の忙しい時期は、部署によって大きく異なります。
特に、特徴的な部署を中心に紹介します。
- 銀行には、お金を有価証券の売買や為替取引などで運用する市場運用部門があります。
- 彼らも期ごとに目標を持っていて、3月9月末の目標の締めに忙しくなります。
- 逆にマーケットが閉じている年末年始は比較的、落ち着いているようです。
- 銀行の予算計画や決算作業などを担当する中枢の中の中枢が主計部門。
- 銀行の中でも常に忙しい彼らは、決算作業が本格化する4~6月が地獄の忙しさです。
- 企画にもいろいろありますが、経営企画や営業関連の企画部門の人たちが忙しいのは、次年度・次期の各種計画を策定する時期です。
- 期の始めの4月と10月を目指して、計画策定や行内決裁を行う1~2月や7~8月くらいが忙しくなります。
- また、企画部門は2~3年に一度『経営計画の刷新』という重い仕事があります。その年は6月から翌年2月くらいまで、まさに地獄絵図のような忙しさになります。
まとめ

銀行員の忙しい時期は、必ずしも3月9月ではありません。
支店に勤務している銀行員と本部部署に勤務する銀行員では、忙しい時期が違います。
さらには、支店に勤務する銀行員の中でも、担当業務によって忙しい時期が異なります。
銀行に用事がある場合には、銀行員の余裕がなくなる時期を避けて、訪問するのが良いでしょう!