銀行員になりたい皆さんの

銀行への就職に有利な学部は何?
という疑問に、現役銀行員が答えます!
経済学部や商学部など金融・経済に関する学部から、銀行に就職する人が多いのは事実。
しかし、これら経済系以外の学部の方がチャンスは広がっています!
この記事では
の3本立てで解説していきます。是非ご覧ください!
銀行への就職に有利な学部はあるのか?
まずは結論から。
銀行の採用担当者は「〇〇学部だから優先して採用しよう」とは考えません。
では、なぜ銀行には経済系の学部出身者が多いのでしょうか?
その理由は、銀行の採用試験を受ける学生の多くが、経済系の学部の人だから。

逆に、経済系の学部以外の人は珍しい貴重な存在ということ!
ここは非常に重要なポイントです。
下の図をご覧ください。

図のとおり、試験官にとって経済系学部の学生は珍しくありません。
採用試験において、同じ学歴で、似た志望動機や自己アピールでは、採用試験を勝ち抜くことは困難です。
一方、経済学部以外の学生に対して、試験官はこう思います。
「なぜ、うちの銀行を受けたんだろう?」
銀行の採用試験を受けるだけで、興味を持たれる点はとても有利。
また採用面接で話す学生時代に学んだことや卒論テーマなどは必然的に、経済系学部の学生とは異なるものになります。
多様性を重視する銀行にとって、経済系以外の学生は魅力的にうつります。
となると、気になるのは
続けて、解説していきます!
銀行にいる経済系以外の学部の人
前述のとおり、経済系以外の学生にも銀行への就職の可能性は大いにあります。
この章では、銀行にはどのような学部を出た人がいるのかを具体的に紹介します。
紹介の切り口は、
の2つです。
理学部

理学部と聞くと、銀行や金融とは遠い感じがしますよね。
しかし、銀行には理学部の数学科を卒業した人が結構います。
私が勤める銀行では、特に本部に数学科出身の人が多く
- 主計部門で、銀行全体の計数管理
- リスク管理部門で、信用リスク業務
- IT部門で、DXに携わる業務
などに従事しています。
また、著名な銀行家では
- 三菱UFJFGの亀澤社長(2020年~)
東京大学理学部数学科 卒業 - 横浜銀行の片岡頭取(2022年~)
東京理科大学理学部応用数学科 卒業 - 三井住友銀行の内川専務執行役員(2022年~)
東京大学理学部 卒業 - りそなHDの石田副社長(2023年~)
千葉大学理学部 卒業
ほか多数の理学部を卒業した銀行役員がいます。
工学部

理学部と同じくらいいるのが工学部出身の銀行員。
私の身の回りにも、工学部卒業の人・芝浦工業大学や北九州工業大学など工業系大学を卒業した人がいます。
特に、昨今のデジタルトランスフォーメーションを銀行内で進めるために、工学部出身者の理系脳や研究肌、論理的思考は欠かせない要素です。
ただし、1つだけ注意点を挙げると金融工学を学んだ人は少ないです。
そもそも金融工学を学べる学部が少ないことに加えて、この学部の学生は金融業界では保険会社や証券会社に就職することが多いと考えられます。
工学部出身の銀行家は以下のとおり。
- 三井住友FGの中島社長(2023年~)
東京大学工学部 卒業 - 三菱UFJ銀行の米花専務執行役員(2022年~)
東京大学工学部 卒業 - みずほ銀行の上ノ山取締役(2020年~)
東京大学工学部 卒業 - 関西みらい銀行の西山社長(2023年~)
京都大学工学部 卒業
メガバンクに、工学部系の役員が多いですね。
農学部

まず、農学部出身の著名銀行家・銀行役員は見つけきれませんでした。
しかし!農業といえば、JAです。
JAでは
- JA全農の八木岡副会長
東京農業大学 卒業 - JA全中の金原副会長
佐賀県農業大学校 卒業 - JA全中の比嘉専務理事
京都大学農学部 卒業 - JA全中の金井常務理事
明治大学農学部 卒業
などたくさんの農学部出身の経営者がいます。
また私の勤める銀行にも、本部・支店ともに農学部出身の銀行員が複数います。
その中の農学部出身の30代の役職者に話を聞いてみました。

農学部で、どんなことを学んでいたの?

農作物の流通政策を専攻してました。

面白そうな学問だね。
でも、農作物も流通も銀行には直接的には関係なさそう…。

そのとおりです。
元々は地元で公務員になろうとしてました。

なるほど。
市役所の農林水産部で働くイメージだね。
でも、それがなぜ銀行に?

公務員の採用試験が不合格で…
そこで、改めて地元就職を考えた時、地域貢献度が高い銀行にたどり着きました。

確かに、鹿児島銀行のように農業関連の融資に力を入れる銀行もあるもんね!
以上のように、農学部出身で農業関連の融資などで活躍されている人もいます!
経済系の学生が銀行に入るためには?
銀行の採用試験を受ける経済系学部の学生は、たくさんいます。
経済系学部の学生は、経済や金融に関する知識やスキルが多少ある点は有利。
しかしながら、それだけでは不十分です。なぜなら、同じような知識・スキルを持った経済系学部の受験者がたくさんいるから。
したがって、銀行の採用を勝ち取るには他の経済系学部の受験者との差別化をはかることが重要です。
ここからは、他の学生とは一線を画す3つの差別化ポイントを紹介していきます。
並々ならぬモチベーション

少し辛辣ですが、多くの経済系の学部生は何となく銀行を受験しています。
『その銀行に入りたい理由』を明確かつ独自性をもって語れる学生は、かなり少ないです。
差別化ポイントはココにあります。
つまり、その銀行で働く並々ならぬモチベーションでの差別化です。
差別化するには以下のステップで準備を行い、採用面接でアピールできるようにしておきましょう。
- 採用試験を受ける銀行への理解
銀行には都銀、地銀、信用金庫など様々。それぞれ特徴や求める人材が異なるため、まずは自分が受ける銀行が「どのような銀行なのか」「何に注力しているのか?」を、中期経営計画を見る等して、理解しましょう。 - 自分がやりたいことの定義
社会人になった自分が「何をしたいのか?」を抽象的に定義することが重要。『みんなが豊かに暮らせる社会にしたい』のように抽象的でもよいので、自分の言葉で表現することが大切です。 - 上記2つの重なる部分を発掘
自分がやりたいこと&銀行の強みや注力することに対する想いを、採用面接で激烈にアツく語りましょう!
その内容は高度じゃなくてもOK。「自分がやりたいことについて、熱を持って話せる」。それだけで、他の学生とは差別化できます。

二度見される資格・スキル

同じ能力の学生がいたとき、採用担当者の判断軸になるのが資格やスキルです。
資格やスキルがあるということは、
と見られ、差別化に繋がります。
では、どのような資格を取るべきか?
金融・経済・法律などの一般レベルの専門知識では差別化はできません。
試験官が保有資格欄を見て、二度見するような資格が望ましい。
具体的には、
- 金融系の資格の中でも王道をいく高度な資格
- 金融とは関係性は薄いけど、希少性が高い資格
の2つの方向性があります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

銀行がめっちゃ好き!

意外かもしれませんが、銀行員は銀行のことを知りません。
正確に言うと、他行や海外の銀行のことを知らないのです。
もちろん、経営企画やアライアンス系の部門などの銀行員は、他行動向に詳しいですが、少なくとも人事セクションの銀行員はあまり情報を持っていません。
もし、採用試験を受けにきた学生が、あらゆる銀行の商品・サービスや戦略や経営計画などに詳しかったら、一目置かれるでしょう。
そこで、差別化ポイントとなるのが、銀行がめっちゃ好き!銀行マニアという切り口です。
具体的な行動指針を挙げると、
などの活動を行うこと。そして、それらの内容を採用面接などで熱く語りましょう!
そうすることで、試験官から「この学生は、相当銀行が好きで、勤めたいんだな」と思われ、他の学生とは一線を画す存在になることができます。
まとめ

銀行の採用活動では優先的に採用される学部は無いです。
銀行に経済系の学部出身者が多いのは、たくさんの経済系の学生が銀行の採用試験を受けるから。
銀行には、経済系の学生と差別化して採用を勝ち取った
- 理学部数学科を卒業した人
- 工学部卒のITに詳しい人
- 農学部出身のアグリファイナンスのプロ
が活躍しています。
もちろん経済系の学生も3つの差別化戦略
- 並々ならぬモチベーション戦略
- 二度見される資格・スキル戦略
- 銀行がめっちゃ好き戦略
を駆使して、他の学生との差別化をはかることで、銀行の採用を勝ち取ることができるでしょう!
そう、銀行に入れるかどうかは・・・
あなた次第です!!